biko先生のマネー奮闘記 -4ページ目

北極30えもん11

「第一話 バイブえもん登場!」その11
「・・・ということで、70年代後半から80年代前半のアメリカは南部重工業産業界いわゆる六つの柱、シックス・ピラーズと呼ばれる集団と、もう一方でニューヨークを中心とした新しい産業、ソフトウエア産業界を中心にした東部エスタブリッシュメントの2大勢力が凌(しの)ぎを削っておった訳で、例えば大統領選挙においても共和党、民主党というイデオロギーをベースにした支持というものより、投票の動向に大きな影響力を与えた訳であります・・・」
おやじの思い出話?と思われるようなセミナーを聞いて何になるのだろう?と倫子は思った。講師は日本のトップ・シンクタンク丸光総合研究所の主任研究員。よくテレビに出てる。でもジジイだ。
「ニクソン大統領が『フロー』と口にしたことにより、世界経済は一気に固定相場制から変動相場制へと・・・・」
これは中学校の歴史の授業だろうか?今日の演題は「温故知新ふるきをたずねてあたらしきをしる経済セミナー」。たしかに歴史を知ることは大切だが、こんな話を延々5時間も聞かされては忍耐も限界だ。
また時折、
「ヘンリーがね。僕に言うんですよ『本音は逆なんだよ』ってね。それでこれは見方を誤ったら大変だと・・」
とか
「JKから直接、電話を貰ってね『君にだけに教える』ってね。そしたらね・・・」
とか
「ジャックはね、大胆な中にも繊細な男でね。キャディーに言うのよ『1インチフックと言ったが、1・2インチの間違いだったな』って・・・」
とか、多分、全部その当時の偉い人の話してるんだろうと思うが倫子は全く知らなかったし、知りたくも無いと思った。だって、こいつの自慢話に何時間付き合わせるんじゃー!!と思っていたからだ。
などという先週のセミナーの話を思い出しながら倫子は明日のセミナーに提出するレポートをまとめていた。
「大変でございますね」
「もうほんと!馬鹿みたい」
「でも大切な知識ではないのですか?」
「まあジジイのご機嫌取りには大切だわさ」
「大分ストレスがお溜まりのようで。肩でもお揉みしましょうか?」
もみもみもみ
「ああ、ねえーん。胸も。お願い」
もみもみもみ
「あっ、ふーん」
もみもみもみ
「気持ち良くなって来ちゃった。ねえ、またやって」
「お仕事の途中では?」
「いいのよ。こんなの。後で適当に資料から書き写せば。それよりなんかとろーんとしてきちゃった。チューして」
ぺろぺろぺろ
ぺちゃぺちゃ
「ああふーんん。もう・・・」
くにょくにょくにょくにょ
ねっこねっこねっこねっこ
「ああ!!またぱんぱんが!!」
ぱんぱんぱん
「ふーっ、またいっちゃった」
「少しお休みになったら、お仕事しませんとまずいんじゃ?」
「えー!?余韻に浸ってるのに無粋なこと言わないで!」
「しかしご子孫様によりますと、倫子様は大学受験の際、オナニーのし過ぎで一浪なさったと」
「ええ!?なんで知ってんの?」
「ご子孫様は未来から見ております」
「やだー!プライバシーの侵害!個人情報保護法違反よ。本人の同意無いじゃない」
「未来にそのような法律はございません」
まあいいや、と倫子はむくれながらも再びレポートに取り掛かった。
「ねえ、北極30えもんってセックス以外に何か出来ないの?」
「まあ、基本的にバイブですから」
「そうよね」
「まあ、レポートくらいなら書けます」
「ええ!?ほんと?」
「はい。なにか素材をいただければ」
「えーと、前回のセミナーで配布された資料はこれと、これかな」
「はい、ちょっと見せて下さい」
そう言うと北極30えもんは5秒ほどで資料に目を通した。
「このパソコンのUSBの差込口はどちらです?」
「えーと、後ろ側」
「ああ、ここですね」
おもむろに北極30えもんはズボンを下ろした。
「ああ!またするの!?情熱的で素敵!」
「いいえ、USBへ差し込むんです」
見るとペニスがUSBのオスになっていた。
「あれ?ちっちゃい」
倫子がそういう間に北極30えもんはUSBペニスをパソコンのUSBソケットに差し込んだ。
ういんういんういんういんういんういんういんういんういん
「ちょっとー何この音ー!?あんたパソコンとセックスしてるんじゃないでしょうね?」
「データをインポートしてるんです」
「やっぱりインサートしてるんじゃない!?」
「ふー、終わりました」
「もう。パソコンにインサートするなんて変態!!」
「ではプリントアウトしてみて下さい」
がちゃこんがちゃこんがちゃこんがちゃこん
「ああ!?ちゃんと出来てる。凄いじゃない!」
「どういたしまして」
「こりゃ使えるぞ。週明けからこっそり北極30えもんを使って仕事しよ。いや、明日のセミナーに連れてこう。ひひひ」
(つづく)

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北極30えもん10

「第一話 バイブえもん登場!」その10
とんとんとんとんとんとんとんとんとんとんとんとん
「いやんんんん、北極30えもんったらー。いきなりとんとん奥を付くなんてー」
とんとんとんとんとんとんとんとんとんとん
「あん、あふん、そこ、そこが私のスポットなのー」
とんとんとんとん
「って、突いて無いじゃん!?」
倫子がベッドから跳ね起きると、北極30えもんの姿は無かった。どうやら台所にいるらしい。
「ねえ、ちょっと。何やってんの?とんとんって」
「あ、お目覚めですか?」
「お目覚めですかじゃないわよ!『お昼ねコール』はどうなったの?」
「あんまりよくお休みだったもので、起こすのが憚(はば)られまして」
「寝込みを襲ってもらうために寝てたんでしょうが!っん、もう!」
「申し訳ありません」
「ところで何やってたのよん?」
「遅い朝食を、というかもうじきお昼なので、朝食兼昼食を作ろうかと」
「へえ。気が利くねえ未来のバイブは」
「光栄でございます」
倫子は機嫌が悪かった。悪い理由は簡単だった。セックスが出来なかったからだ、けではない。
今日明日の土日、本来なら休日であるが明日の日曜日は一日研修セミナーに出席しなければならない。最近は世の中の仕組みがいろいろ変わるので、もう年がら年中セミナー漬け。明日のセミナーに出席する際に前回セミナーの内容をまとめたレポートを提出しろと言われている。
「ああ、もう面倒くさーい。せっかくまるまる二日間北極30えもんをたっぷり楽しんでやろうと思ってたのに」
「そんなにセックスばっかりしてたら馬鹿になられてしまいますよ」
「いいのよ!少し馬鹿になるくらいでちょうどいいの!普段頭ばっか使って生きてんだから!」
そう言って北極30えもんを叱ってから
「だからーん。カラダも使わないとバランスが取れないのよん」
と言って台所で料理する北極30えもんにしな垂れかかった。
「まあ落ち着いて。お食事をしてからにしましょう」
「いや!」
「冷めちゃいますよ」
「いいよーだ。普段一人暮らしで冷め切ったコンビニ弁当食べるの慣れてますから」
「エリートOLの倫子さんがコンビニ弁当?」
「そんなもんよ。会社がエリートってだけ。ペイ・フォー・パフォーマンス成果主義給与制度って聞こえはいいけど要は安い給料で死ぬまで働かせる口実だもの」
「そうなんですか」
「そうなのよ。だからダッコ」
「仕方ないですねえ」
北極30えもんがそう言ってくれたので、倫子はぴょんと飛び乗るようにして北極30えもんに抱っこした。
「ベッドまで連れてってーん」
「承りました」
ねっとりこん、ぺろりんぺろりんぺろりんぺろりん
もみもみもみもみもみもみ
くにゅんくにゅんくにゅんくにゅん
つつつーっ
「ぷはっ、はは早くー30えもーん」
先っちょ
こすこすこすこす
「ああああ、もう堪忍、、、」
ずっぷんずっぷんずっぷんずっぷん
「ううううう、、ぱんぱん」
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱ
すっきり、ぐーーーー。
「うふ、また寝ちゃった。二度寝どころか三度寝だわ」
「もうお昼でございます」
「ひゅー。午前中ほとんど寝てた」
「そうでございます」
「でも有意義な午前中。やって寝てやって寝て。これ一日中、ううん二日間ずっとこれがいい」
「御意(ぎょい)に」
「やったー!」
(つづく)

北極30えもん9

「第一話 バイブえもん登場!」その9
「うう~ん」
ぺりょんくにょんぬっちゅっぺりょんくにょんぬっちゅっぺりょんくにょんぬっちゅっぺりょんくにょんぬっちゅっ
「あああああああ、、ああ」
ぺりょんくにょんぬっちゅっぺりょんくにょんぬっちゅっぺりょんくにょんぬっちゅっ
「んんんんん、むふっおおおん」
ぺりょんくにょんぬっちゅっぺりょんくにょんぬっちゅっぺりょん
「うおおお、うおーん、ほーーんん」
ぺりょんくにょんぬっちゅっぺりょんくにょんぬっちゅっ
「あっ!」
ぺにょん
「ふーっ」
爽やかな朝だった。
「モーニングセックスコールサービスって最高!誰が考えたの?」
「社のカスタマーリレーションシップセンターでございます」
「これほど顧客の要望に充実した回答を出せるなんて、あなたの会社って凄いわ!」
「光栄でございます」
「でもお料理、お掃除、お片付けまでセットになってるなんて至れり尽せりね。誰が考えたのかしら?バイブにお掃除までさせる機能を付けようなんて!」
「長い時間を掛けて進化してまいりましたから」
「はあー、未来人の英知の結晶よねあなた」
「それほどではございません」
「でもあれかー、24世紀っていえばもう何でも自動って感じでしょ?」
「自動?と申しますと?」
「貴方みたいなロボットがなんでもやってて人間は遊んでるだけ、って感じ?」
「とんでもございません。そうですね。そういう意味ではこの時代より自動化は後退しております」
「後退?」
「ええ、まず道路は歩くのが普通です。自動車はあまり走ってません」
「歩く?分かった!空港みたいに道路が動くんでしょう」
「いいえ。舗装された道路がほとんどありません。みんな土です」
「へ?なんで?まさか石油が枯渇して、エネルギー危機が!?」
「まあ、そういう心配もありましたが、一番は健康の為です」
「健康?」
「はい。歩くのが一番、健康に良いのです。特に精神面のですね。いらいらやストレスが収まります」
「へえ、なるほどね。今、問題の切れっるって奴も無くなるかな?」
「勿論でございます。そもそも人間も動物の一種族ですから、身体を動かすのが普通ですから」
「ははあ。なるほどね」
「あとエレベーターとエスカレーターもございません」
「え?じゃ、高いビルも健康の為に歩いて上るの?」
「勿論です」
「ひえー。死ぬよね」
「大腰筋が鍛えられるので、お腹が出ません」
「うんーー。なんとも言えないなー」
「自動ドアもありません」
「え?」
「腕を鍛えるためです」
「なんか24世紀ってスポーツジムみたいだね?」
「そうですね。鍛え上げた身体の人は尊敬されます」
「ふんー。じゃ、今より科学は遅れてるってこと?」
「まあ、不要なところには使わないということです」
「と言うとどいうところに使ってんの?」
「そうですね」
と北極30えもんは少し考え込み、
「私のような慰安用でしょうか?」
「じゃ、これから300年間の人間の科学は、バイブの進化のためにあったっていうこと?」
「そうとも言えます」
「う~ん。複雑ね」
「まあ、未来人は機械化が嫌い、ということもあります」
「機械化が嫌い?」
「自然派志向なのですよ」
倫子は納得できるようなできないような、まあ、それほど深く考える必用が無いような気がしたので、取り敢えず話を打ち切り、北極30えもんの膝の上に乗った。
「ねえーん。今日お休みなんだー。まだ、八時だよ。もう一眠りちたい」
「お休みですか。どうぞごゆっくり」
「あーん。一つ教えて欲しいんだけど、例えば今から一時間後にまたモーニングセックちゅコールって出来ますー?」
「それは出来ません。朝だけのサービスでございます」
「やっぱり。がっくりだわー」
「しかし、代わりに『お昼ねコール』というものがございます」
「ふふーんん!!それはもしや」
「お昼寝中のお客様をお約束の時間にセックスで起こして差し上げるサービスでございます」
「そのサービス乗った!あ!?でも『お昼ね』って言うからにはお昼じゃないと駄目なんじゃ?」
「このサービスは時間の不規則な方用に考案されたサービスでございますから、朝八時半より夕方四時半までご利用頂けます」
「ありがとう北極30えもん!それじゃ、えっと9時にお願い」
「お承(うけたまわ)りました」
倫子は期待にどきどきしたが、より良いセックスの為に、より深く眠るよう努力した。
『こういう時、日頃寝不足で良かったわー。簡単に眠れるもの。ああ、でもより深く眠るために全身の力を抜いて、腹式呼吸、ゆっくりと鼻から吸ってー、はい口からゆっくりと吐いてーーー、最後に肛門をキュッと締めて息を全部吐き出すー』
などと考えている間に睡魔に襲われ、結局2回ばかり腹式呼吸しただけで寝入ってしまった。
(つづく)

北極30えもん8

「第一話 バイブえもん登場!」その8
「ねえ、北極30えもん」
北極30えもんは倫子が食べた食器を洗いながら、答えた。
「なんでしょう?」
「あなたお料理すごく上手い上に片付けまでしてくれるのね」
「ええ、食器洗い機機能が付いてますので」
「え?何それ?手の先っぽから束子(たわし)が出て回転するとか?」
「いいえ、24世紀では手洗いが一番流行なんですよ」
「なるほど!え?でも手洗いじゃ、人間がやってもおんなじじゃない」
「そうですよ。優れたロボットは人間と同じ事をするんです」
「なるほどねー。じゃ、お掃除も」
「ええ、掃除機機能も付いてます」
「掃除機機能たってあんた。あんたがそこにある掃除機使って掃除したんでしょうに」
「まあそうです」
「いえいえ、ありがたい限りですよ。だらしない私としては」
「そう言って頂けると嬉しいです」
ちょうど北極30えもんは食器洗い~食器拭きが終わり、台所から戻ってきた。倫子は待ち構えたように北極30えもんの肩にしな垂れかかり、次いで膝の上にだっこまでしてしまった。
「ねえ~ん、そんなことよりなんか新しい機能ないのー?まだ内緒の奴あるんでしょ?」
「内緒なんて。そんなものはございません」
「ないのー。つまんないのーー」
「まあ、特に新しくもなく内緒という訳でも無いのですが」
そう言って北極30えもんはシャツをたくし上げ、臍(へそ)を出した。
「お臍(へそ)?」
「その縁のところをご覧下さい」
「ほほー。あ!何か書いてある!どれどれ、なになに?【短・中・長・超長】?」
倫子は北極30えもんの顔を見てにんまり笑った。
「分かった分かった。ひひひ。これってあれの長さでしょ。ねえ今何?【中】?」
「いいえ【長】でございます。ご子孫様がセットなされました」
「なりゅほど!道理で具合良くいいとこに当たりますわ。ほほほほ。でも【超長】ってどれくらいなの?」
「これはー、外人様でしょうか」
「なるへそ!外人のあそこなら【超長】でも完食できるわね」
「あと、弄(いじ)るのがお好きなお客様向けとなります」
「ほっほー。たしかに弄繰(いじく)り回すには長ければ長いほど楽しいかも」
「そうのようです」
「でも【短】とかって選ぶ人いるの?【中】はあそこが浅い人もいるから必要なんだろうけど」
「入り口に性感帯があるお客様がいらっしゃいます」
「あ!分かる分かる。でもそういう女って本当にいったことないわよ。入り口じゃあオナニーと変わんないもん。ぴりぴりって感じって言うの?やっぱ本格的に行くには奥でドーン、ドッカーンって感じになんないとね。うんうん」
「さすが倫子さんは色んなことをご存知ですね」
「そんな褒(ほ)められるようなことじゃ。何よろこんでんのよ私ったら。ところで太さはないの?」
「ございます、左側です」
「これね。うん?これはなあに?【大・高・先細】?」
「ああ、それは亀頭のタイプにございます」
「キトー?」
「ええ。【大】は全体に大きいのでございます。例えるなら大き目のゆで卵。【高】はカリ高。【先細】は先端が細く尖(とが)ってるということです」
「へえええええ。これって興味深々。ねえ。【大】って押してみて良い?」
「どうぞ」
「わわわわ!何これ?すっげー」
「お好みで色も」
「色?」
「はい。ここに」
「おお!あれ?ピンクなんてあるよ?」
「初物好きの熟女のお客様に人気です」
「初物。つまり童貞君ね」
「そうです」
「私はそこまで熟してる訳じゃないけど、ちょっとピンクにしてみていい?」
「どうぞ」
「ひえー。こんなどでかい亀頭がピンク色!なんかいやらしい」
「興奮されましたか?」
「ちょっと入れてみていい?」
倫子はパンティを脱いで、北極30えもんの上に跨(またが)った。
「なんかピンクの亀頭君が私の中に入っていくと思うと恥ずかしいわ」
「なんの抵抗も無く呑み込まれています」
「ああ、どんどん入っていっちゃう」
「そうでございますね」
「ああ、あふん!奥まで入っちゃった。出し入れしていい?」
「どうぞ」
ずずずずーーーっぷん
「あふん!亀頭が大きくて刺激が大き過ぎる。動いたらいっちゃう。でも動かないとおかしくなっちゃう。北極30えもん!なんとかして!」
「ローリング機能を使いましょう!」
「なにそれ?」
「21世紀のバイブにもあるでしょう。中で回転する奴ですよ」
「ああ、あれね。じゃ、早くお願い」
「はい」
ういん、ういいん、ういいいん、ういいいいん、ういいいいいん、ういいいいいいん
あっぱ、いっぷ、うっぷ、えっぷ、おっぷ
ぶわーん!!ばーん!!ばばばばーんんんんn!!!
「ふーふーふーふー。死ぬかと思った。あんまり気持ちよくて。ねえ、死んだ人いるでしょ。気持ち良すぎて。これはまずいわー。癖になるー」
「ご満足頂きありがとうございます。そろそろ終了の時間でございます」
「え?何それ終了って」
「営業時間は午後十一時までとなっております」
「え!?何それ?聞いてないよう。せっかく明日は土曜日で休みだからもう一回くらいやって、それから夜中に起きてむにゃむにゃしながらやって、朝寝起きにまだ目覚めてない身体のまま朝立ちしたのを入れようと思ったのにーー」
「未来人は早寝早起きにございます。あ、それとモーニングコールセックスはOKでございます。朝の営業時間は六時からでございますので、それ以降でございましたら朝立ちコール設定もございます」
「朝立ちコール?なんて魅力的な響き」
「好評にございます」
「じゃ、六時半に予約お願いしまーす!」
「承(うけたまわ)りました」
(つづく)

北極30えもん7

「第一話 バイブえもん登場!」その7
「どういうことと言われましても大したことではございませんよ。未来から見ておるんであります」
「どうやって?」
「パソコンで」
「パソコン?」
「そういうソフトが売ってるんですよ」
「何それ?随分簡単に言うけどプライバシーの侵害じゃない」
「まあ、そう言えない事もありませんけど、一応、自分のご先祖様しか見てはいけないことになっています」
「えー!?じゃあ、私がオナニーしてるとこもいつも見てたってこと?」
「はい」
「はい、じゃないわよ。勘弁してよ。じゃ、今も見てるの?」
「そうですね」
と言うと北極30えもんは時計をちらりと見て
「見てませんね」
「え?何で?」
「もう、お休みになられています」
「お休み?」
「つまり寝ておられます」
「寝てる?まだ9時よ」
「未来人は早寝早起きなんです」
「へえ、じゃ起きてる時だけ見てる訳?」
「まあ、暇な時ですね」
「もう、いいや。やい子孫!ご先祖の痴態見てオナニーでもして寝てろ!」
まったくくだらない会話をしてしまった、と倫子は思った。くだらないと言えば昼間のダイバーリーゼント社でのくだらなさといったら。倫子は思わず目を瞑(つむ)って頭を横に振った。

「それでは昆布巻CFO様、そういう段取りでよろしくお願いします」
細野課長がそう話を締めた。倫子はこの馬鹿な空間からようやく帰れる、と胸を撫で下ろした。このオープンスペースにある応接にさっきから意味も無くダイバー社の社員が入れ替わり立ち代り行き来するのだ。みんなおかしな薄ら笑いを浮かべては通り過ぎていく。それも最初一人二人だったが、今は列を作って順番待ちの状態だ。
『何なの!?この人たち!』
今日のスーツはスカートの丈が短過ぎたか?
『変態どもめ!口説くことも出来ないくせに、人の脚見るな!!』
女は、上手に口説かれれば脚だろうが胸だろうが率先して見せたくなるが、覗かれるってのは不愉快なものだ。倫子が不快そうな顔をしてもお構いなし。倫子の前で、まるでコンビニで立ち読みする学生のように座り込む者まで出てきた。
そんなこんだでうんざりしているうち、契約話は順調に進んだのだ。さあこれで帰れる、と倫子が課長とともに立ち上がろうとすると、
「STOP!ちょっと待って。僕だけじゃ決められないんだった」
「と、申しますと?」
「CIOにも会って貰わないと。細かい説明はいいよ。挨拶だけしといて」
そう言って昆布巻はつかつか去って行った。
「CIOというのは初めてです。倫子さんあったことある?」
「いいえ」
倫子はそんなことより、このかぶりつきで自分の周りを囲む変態社員をなんとかして貰いたかった。課長は我関せずで、一向に気にしていない。さっきカモノハシのコスプレをした女が運んできた紅茶を啜(すす)って
「はあー」
とか一息付いてる。早く来ないか、倫子は一刻も早くCIOが来ないかと心待ちにした。
すると、
「Yes! Yes! Yes! Yes!」
「Oh!Baby Oh!Baby Oh!Baby Oh!Baby」
「Year! Year! Year! Year!」
「Hey you! Hey you! Hey you! Hey you! Hey you! Year!」
と訳の分からない英語の叫び声が聞こえてきた。歌なのかもしれない?さっきの昆布巻の野郎が更にハイテンションになって戻って来たか?
と思うとアフロヘアに白いラメのつなぎ、ゴーグル型のサングラスをした男が上半身を左右に揺すりながら歩いてきた。顔は顔黒だ。遠くから見るとオットセイがアフロヘアーの鬘(かつら)でも被(かぶ)って左右に頭を揺らしているように見える。そしてそのサングラスのふちにはネオンが埋め込まれ、パチンコ屋の看板のようにくるくるレンズの周りを回転していた。この糞熱いのにマフラーまでしてる。それも虹色のマフラー。
「Heーy、Hey、Hey、Heーy、Hey。Oh Fanky、Fanky、Fanky、Fanky」
腰を前後に激しく揺らしながら、握手を求めてきた。すかさず細野課長が
「お世話になります」
と卒ない握手。すると今度は倫子の方にその手を伸ばしてきた。倫子が握手しようとすると、突然大声で
「Oh!! Fack Fack Fack Fackyou I'm マンキー」
と叫びだした。どうやら興奮しているらしい。ウホッウホッと三、四回その場でジャンプした。倫子に飛び掛かってくるのか?というほどの興奮の仕方だ。突然、ジャンプが止まったかと思うと、手を握られ握手、上下にブンッブンッ握った腕を振られた。
「Yes! Nice Pussy Your Prity Pussy Cat Yes! Yes! Yes! Ho! I'm マンキー」
monkeyの発音が妙に気になった倫子だった。
男は素早く白いラメのつなぎの胸ポケットから名刺を出すと課長と倫子に渡した。そして
「thanks! you you you what your! mnnnnnn」
と言うと再び
「Yes! Yes! I No Anita!! Anita! Anita! Anita!」
とか歌いながら去って行った。名刺を見ると<CIO小林正夫>と書いてあった。
『死ぬまでやってろ!』
と倫子は心の中で叫んだ。
そうしてようやくダイバーリーゼント社から解放された。
(つづく)

北極30えもん6

「第一話 バイブえもん登場!」その6
すっかり潜ってしまった。それも深海へ。ダイバーリーゼント社は底知れぬ会社だ。アパートに着く頃には倫子は心身ともに疲れ果てていた。

ダイバー社に向かう途中、そういえば女子社員はいないんだったか?と思った。細野課長に聞いてみると
「いますよお。やあね倫子さんったら。レズにでもおなり?」
おなりじゃねーよ!おならでも引っかけてやっか?と倫子は内心憤慨したが、
『女いたんだー???』
という方に思考が優先された。
行ってみると、た・し・か・に・いた。うさぎのきぐるみ、猫のきぐるみ、カンガルーやレッサーパンダなんかまでいる。カモノハシさんがお茶を運んできた。
「お茶でーす」
「はあ?ありがとうございます」
そこへ401Kを担当する昆布巻CFOが入ってきた。
「やあ、皆さんいらっしゃい」
すかさず細野課長が
「昆布巻CFO、すばらしい。『萌え』ですな」
とおべんちゃらを言った。
「OH Yeーs。よくお分かりですね。萌え、の市場は当社が独占しまーす。その為、社員全員が高次元な『萌え』を理解しなくてはいけませーん。その為の社員教育でもあるのでーす」
「さすがアメリカ帰りのMBA!」
「No!No!グローバリゼーションの現代にアメリカ帰りもMBAも関係ありまっせーん」
そんなやり取りの横で倫子は、
「社員教育ー?」
と口に出してしまった。
「Yeーs。女性社員は『萌え』を提供する側、男性社員はそれを享受する側の研修でーす」
ばか?馬鹿?BAKAなのこの連中?単なるコスプレじゃん!それもこの女どもは何?保母さんか?

「ねえ、北極30号。聞いてる?大変だったのよ」
「ええ分かりますよ倫子さん。お仕事というのは何時の時代も大変なものです」
「でもさあ、現代のお仕事って無意味に大変だよね。まだセクハラがどうのって言ってたバブルの頃の方が健全だったんじゃない?」
「さあてどうでしょう?時代時代にパラダイムというものがございますから、違う時代から来た私がとやかく言うことでは無いでしょう」
「パラダイスって言っても、あれはダイバー社の馬鹿社員どもにとっての楽園ってだけよ。現実逃避、生の女を満足させたことなんか無い連中だわ!」
「あの、申し上げにくいのですが、私が申し上げましたのはパラダイム、つまり『規範』のことです。まあ価値観といいますか、美意識とか正義感なんかも含まれましょうか」
「げげ!勿論、分かってたわよ。何しろ私ってば有名金融コンサルタント会社の金融プランナーなんだから。ちょっとした駄洒落(だじゃれ)よ!」
「申し訳ありませんでした」
「そんなことよりー。早くちて。ね」
「はいはい分かってます。でも夕食はよろしいのですか?」
「取り敢えずー。1ラウンド済ませてから。ね」
「えっと、それではどんなモードで」
「だから、ね・っ・ち・り・で」
「はい。それは予約済みなんですが、他にもいろいろ細かいモード設定がございます。まあ、まだ慣れてませんから全てノーマルでよろしいでしょう」
「ちょっと待った。それは【深・突】とかのことでしょ?」
「いいえ、そいうのはなされいる最中にご操作頂くものです」
「え?じゃ、他にあるの?」
「まあ、いろいろ」
「例えば?」
「射精機能も付いてます」
「ええ!?ほんと!?」
「はい。スイッチはここ。左肩の裏」
「ほんとだ。なになに?【熱・冷】?何これ?」
「ああ、射精する精液が熱い方がいいか冷たい方いいかってことです」
「それとーー、うん?【多・少】?フンーーー!!」
「精液の量が多いか少ないかです。お好みで」
「じゃあ、【多】でお願いちまちゅ。ポ!いやん恥ずかちい!」
「いいえ当社のお客様統計でも【熱】【多】の組み合わせを選択なされるお客様が全体の七割に上るという結果が出ています」
「そうだよね。私に言わせれば【冷】【少】なんてボタンいらないよ」
「まあ、色んな趣味趣向の方がいらっしゃいますし、顔射を好まれる方もいらっしゃいますから」
「なるほど!でもそれなら【少】は分かるけど【冷】はどうなのかな?」
「まあ【冷】と言っても人肌並ですから」
「へえ?じゃ、【熱】は?」
「40℃に設定してございます。丁度、温泉の温度でございます」
「はあー。温泉の暖かさがあそこの中にジワーっと広がって、まあ、桃源郷の心地良さ。うっとり」
「他にもですね」
「もういいわ。お話は結構。実践あるのみよ。さあ。さあさあさあ」
「じゃ、いきます」
「お願いちまちゅ」
「ちなみに、舌にも動作モードがございます」
「舌ってベロちゃんのこと」
「ええ、取り敢えず一番人気のある【遅・ローリング】でいきます」
ぺろんぺろんぺろんぺろんぺろんぺろん
あふん、あふふん、あふふふん、あふふふふん、あふふふふふん、あふふふふふふん
ぺろんぺろんぺろんぺろんぺろんぺろん
うん、ううん、うううん、ううううん、うううううん、ううううううん
ぺろんぺろんぺろんぺろんぺろんぺろん
お、おお、おおお、おおおお、おおおおお、おおおおおお
「ねえん、もう欲ちいよ」
「駄目ですよ。もう少し辛抱なさい。辛抱が多いほど実りも大きいのですよ」
「えー?ー?ー?」
ぺろんぺろんぺろんぺろんぺろんぺろん
「もう、堪忍して!限界!」
「仕方の無いお客様ですねえ。じゃ、先っぽだけ。亀の頭だけ入れて上げましょう」
ヌポッ。しーん。
「うごいてー」
「先っちょだけですよ」
すこすこすこすこすこすこすこ
あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ
「もうううう、奥までーーーー」
「お客様、もう少し辛抱なさらないと困ります」
「だめ、だめ、だめ、だめ、もう駄目なのー。ね、お願い」
ずぷーーーーー
あっップ、
ずずずずーっこん、ずずずずーっこん、ずずずずーっこん
あふっあふっあふっあふっあふっ
「ぱんぱん!」
ぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱん
たっぷり!

「はー、気持ちえかったー。ひさびさ、こんなに深く満足しちゃったの。でも、ねえあなた。ロボットのくせして焦らすなんてやるじゃない」
「まあ、そのようにプログラムされておりますから」
「プログラム?はあ、優秀な会社なのねえ」
「いいえ、このプログラムはあなたのご子孫様がなさったものです」
「げ!」
「お客様のことを良くお分かりなんですよ」
「ちょっと恥ずかしいわ。でも、なんで分かんの?」
「ご子孫様はいつもお客様のことを見ておいでです」
「いつもー?ちょっと!どういうこと?」
(つづく)

北極30えもん5

「第一話 バイブえもん登場!」その5
「倫子さん、ちょっと」
細野課長の声がした。悪い奴では無いが、オカマ言葉が気になる。多分、自分だけでなくみんなそう思ってるに違いないよ、と倫子は考えていた。しかし、オカマ言葉は当社が女性の多い職場だから仕方なのかもしれない。問題はプラス簾(すだれ)頭ということだ。オカマ言葉+簾頭=どう見ても仕事が出来るように見えない。実際、非常に頼りない。会議では流されるまま自分の意見ゼロ。営業先でもまともな説明は出来ず。
しかしその彼が何故に営業課長か?その理由は、彼がどんなに阿呆でも何故か営業成績だけはいいということだ。倫子はその秘密が彼のオカマ言葉+簾頭にあると見ていた。簾頭という視覚効果とオカマ言葉でグズグズ言われたら営業先の担当者も困る。尚且つ彼は馬鹿!といわれようがクズ!と言われようが帰らない。目に涙を浮かべながら、客の会社に居座るのだ。客が困り果てて
「そろそろお帰り下さい」
と言うと
「じゃあ契約してちょうだい!」
と泣きながら言う。
簾頭×オカマ言葉×泣き脅し=契約成立。
しかし、一番迷惑なのは同行させられた課員。ずーーーーっと、彼の隣で一部始終を見守っていなければならない。相手先の社員達の冷たい視線と嘲笑に耐えながら。私はこの人とは違うんです、関係ないんです、と叫びたくなるのを我慢して、ただ肩を並べて座っているのだ。
その課長が自分に声を掛けてきた、ということは、もしや?一緒に営業に行けという事か?
『いやー!!具合悪くなろ。早退、早退。そう!今日はひどい生理で、生理休暇いただかないと』
倫子はわずかに身体を捩じらせながら課長席に向かった。いつでも「具合悪くって」と言い訳できるように。
「倫子さん、あのですね」
「ひ!あの課長、私朝からちょっと体調の方が」
「は?」
「体調悪くて」
「え?いつもよりツヤツヤしてるから体調いいのかと思いましたよ」
「あ、ツヤツヤはその、朝から一本抜いて」
「朝から一本?」
「あああ、朝からホモビタンCを一本」
「なるほど」
「それなら元気でしょ。実はお願いがあるのですが」
「ははは、はいー?」
「ダイバーリーゼント社に一緒に行って頂きたいんです。401Kを導入されたいそうで、そのご相談に」
「ひ!ダイバーリーゼントってあの六本木ピラーズの、あの変な人たちばっかの会社」
「失礼な!お客様ですよ!口を慎んで」
「は、済みません」
最悪だ。最悪。ダイバーリーゼントとは、ダイビング好きのエリート男が設立したITベンチャー。設立後まだ3年というのに日の出の勢い、と言おうか生き馬の目を抜く快進撃で、天文学的売上を記録している会社だ。しかし、問題はいろいろある。男性社員が全員リーゼント。パソコンおたく集団のくせしてである。社長がダイビングも好きだが髪型はリーゼントが好きだからだ。つまり簡単に言うと変な連中の集まりである。
前に行った時もレースクイーン並にスタイルのいい倫子は、おたくandリーゼント軍団から全身を舐め回すように見られた。「君、どこのエイギョー?」とか声を掛けるでもなく、パソコンの手を止め黙ったまま、ひひひ、という顔つきで。
「ああ勘弁して下さい。気持ち悪い。ぶるぶるぶるぶる」
「駄目です。あちらさんは倫子さんのとこ気に入ってるみたいよ」
「え!?誰が?」
「誰が、っていうか皆さん。倫子さんが来るといい匂いがするんだって」
「に・ほ・ひ・嗅いでたの?気持ち悪ー!!」
「仕事なのよ。観念なさい」
「はひ。ぐっすん」
(つづく)

北極30えもん4

「第一話 バイブえもん登場!」その4
「え?まずいですよ。会社に遅刻しますよ倫子さん」
「いや!倫子って呼んで」
「はあ。じゃ、ノーマルモードだと間違いなく遅刻するのでクイックモードでよろしいですか?」
「え?何それ?」
「モード変換できるんですよ」
「ほほう、どういうモードがあるの?」
「ここにあるんです。ほらこの首の後ろ」
「あ!なんか書いてある。あれ、ここ押すと字が変わる。どれどれノーマル、クイック、スポーティ・・・あ、これがいい、このネッチリモードっての」
「駄目ですよ、遅刻しますよ」
「いいの体調悪いって電話しとくから。だって本当だもの。もう一年もセックスしてないんだから体調おかしくなって当然よ。ね、早く、お願いちまちゅー」
「いいや、駄目です」
「なんで?あなたバイブでしょ?ご主人の言うこと聞きなさい」
「残念でした。私を注文したのあなたのご子孫様です。その方からもう一つご注文を受けておりまして、あなたが節度ある生活を送るよう監視しなさいと」
「何ですって!?余計なお世話よ!ぷんぷん!もういいわ、会社へ行きます」
「まあクイックモードならギリギリ遅刻しないかもしれません」
「え!?本当?じゃあお願いちまちゅ」
「はい、それではクイックモードっと」
くちゅっプヌプヌプヌ
あふっあはん、もっちょ
ういんういんういん
あああんんん
しーん
うん?
びびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびび
あばばばばばばばばばばばばばばばばば
だでぃごべええええええ
あびばばばば
ひーひーひー
「ちょっと!なによこれ?」
「クイックモードでございます」
「なんか痺(しび)れちゃったじゃない!道路工事やってんじゃないのよビビビバババって!」
「はあ、でも短時間でいって頂くにはこれが」
「まあ、いっちゃたことはいっちゃったけど何か嫌な感じ!屈辱だわ、こんな馬鹿な生き方させられちゃって。ちょっと帰ってきたらねっちりモードだかんね!分かってるでしょうね。もう好きなように楽しんでやるわ。覚悟しときなさい!プンプン!」
倫子はそそくさとスーツを着込むとアパートを出た。
(つづく)

北極30えもん3

「第一話 バイブえもん登場!」その3
「はあ、久しぶりに健康な朝だわ。たっぷり朝ご飯食べちゃった。あなた料理上手なのね」
倫子の通勤の為、スーツに着替え始めた。
「ええ一応、長期間のお勤めもありますので」
「長期間のお勤めというと、もしや愛人契約みたいな奴?」
「まあ、そんなものですね。一人のお客様に一定期間お使えする訳です」
「ほほー。でも高いんでしょ?」
「そうですねえ。ただ、量産型ですから購入しても二、九八○円」
「ええ!?じゃノーマルなバイブと同じくらいじゃない!?」
「そうですね。まあ、私の祖先はそのバイブですから」
「まあ!?あれがこんな風に」
「そうですね。最初、男性器の形をしただけのものが電動になって女性のお好みの動きが出来るようになり、その後、ぬいぐるみの股間にそれが付いてぬいぐるみを抱きしめながら出来るようになりました。ここまでは現代の話です。そこから今度は男性の腰を模(かたど)ったゴム製の模型の股間に装着されたのです」
「ええ!?腰だけなの?」
「ええ、殿方の腰を抱えながらいきたいという女性の要望が多かったものですから」
「なるほどね!」
「しかしすぐに男性の胴体のゴム製模型も必要になりました」
「ほほう?」
「やっぱり首にもしがみ付きたいと」
「分かる分かる」
「しかし程なく、手足も」
「やっぱり」
「抱きしめて欲しい、と」
「そうだよね。で、結局アンドロイドになっちゃったんだ」
「いえいえ、そんなに簡単にはいきませんよ。だいたいアンドロイドの開発は宇宙探査用に行われたものです。バイブが進化した訳では無いのですよ」
「そりゃそうだ!」
「もっともバイブ業界がアンドロイドを活用するようになってから、人工皮膚や肉の代わりとして使う弾性ゴムは飛躍的な進化を遂げました。また、人口海綿体もバイブ業界が作ったんですよ。それも私の製造元であるTOMOTAが開発したんですよ」
「すごーいい。それで人間の男性みたいに大きくなったり小さくなったりするんだね!」
「そうです」
「道理で感触が生々しかったわー。バイブって気持ち良いんだけど硬くてちょっと痛いのよね」
「TOMOTAの技術がそれを100%解消致しました」
「やったーTOMOTAばんざーい!」
「いえ、TOMOTAの技術はそんなレベルではございません。当社はかつて製造商品の一部としてピストンシリンダーを製造していた経過がございます。当時の技術を応用してアンドロイドの腰使いに、現物の男性では不可能なスピード、角度を実現しております」
「おお!たしかになんか凄く気持ちいかった気がする!フン!」
「ここにですね、お客様用の手動スイッチがございます」
「フン!フン!どれどれ!これかー。こいつがスイッチだったかー」
「はい、まず一番上が【ピストン(浅)】です」
「ピストンあさ?朝用のピストン運動?」
「いいえ、浅です。具体的に申しますと女性気の入り口で出したり入れたり」
「ひひー!!気持ちえさそー!」
「次いで二番目が【ピストン(長)】」
「超?」
「いえ、長。ロングストロークで出し入れ」
「おおお、ロングストローク、なんて魅惑的な響きなののの」
「三番目は【ピストン(深・捏)】」
「あのー、字が読めないんですけど」
「捏ねるはこねる、って読むんですよ」
「捏ね捏ね、なんて高貴な字なの。なんか皇室みたいな字」
「あんまり似てませんけどね。つまり奥で捏ね回すということです」
「ああん。もう駄目~ん」
「最後は」
「お願い、ぱんぱんやって下さい」
「はい四番目は【ピストン(深・突)】です」
「はふー!」
鼻息を荒げ、倫子はバイブえもんの膝の上に載った。パジャマからスーツに着替える途中だったので、パンティとブラジャーを着けただけの格好で、何時でも裸になれるという状況だった。
(つづく)

北極30えもん2

「第一話 バイブえもん登場!」その2
あんあんあんあんあんあんあんあん
きゃんきゃんきゃんきゃんきゃんきゃん
えーんえーん
ううう、、、
あ、おおおおおおおおおおおおお
ふーーーーー
おやすみ、ぐー、ぐー、
ジリリリリリリリ
『ん?朝?明るい、朝だ。なんか昨日はすごっく激しいセックスした夢見ちゃったなー。島流しにあって以来、自粛してたからやっぱ欲求不満
なのね。そういえばすごく私好みのイイ男出てきたよね。たしか「バイブくん?」。完全に欲求不満だー。私を憐(あわ)れんだバイブの精が男性の
姿を借りて私の前に現れたのかしら。それであんなに私の中を激しく突いて。ってやばいなー』
「おはようございます」
「ひ!?あんた誰?」
「え?昨日もご説明した筈ですが」
「ああ!?バイブくん?本当に居たの夢じゃなかったのね」
「あの、北極30えもんです」
「そうね、バイブの精だったかしら」
「いえ、未来からあなたの子孫に送り込まれて来た」
「ああ、ター○ミネーター」
昨日と同じ展開だった。倫子は格好いい男も好きだったが性的な趣向として筋肉隆々のボディビルダーのようなカラダも好きだった。
「はあ、本当に居たんだねー。でも、本当はあなたどっかの出張ホストでしょ。誰かが私に一晩プレゼントしてくれたのかしら。誰だろう?お母さ
んってことないし」
「あなたのお母さん、そんなこと聞いたら越し抜かしますよ。真面目ないい人なんですから」
「え?私のお母さん知ってるの?」
「直接は知りませんが、昨夜あなたのお相手をさせて頂いた際に、貴方の記憶の一部を覗かせて頂いたのです」
「えー!?じゃやっぱ貴方としちゃったのねー。夢じゃ無かったんだ。道理で気持ちよかった筈だわ。お陰で久しぶりに良く眠れたわ」
「どういたしまして」
「でも、人の記憶を覗くなんてどういうこと!酷(ひど)いじゃないの。プライバシーの侵害だわ」
「ええ、ただお客様の趣味趣向をよく理解しませんと。その為の必要最小限の情報だけ見せて頂きました」
「まー、嫌ねえ。お店に苦情言っとくから。後で何見たか教えて頂戴ね。取り敢えず朝は急がしいのよ。こんな辺鄙(へんぴ)なアパートに暮らし
てるから六本木ピルズの会社まで結構かかるの」
「そう思って、朝食を用意しておきました」
「まあ、気が利くじゃない。でも、そんな時間は無いの!」
「まだ五時半ですよ」
「ええ!?何で?やっぱり満足して寝ると熟睡できるのかしら?」
「ええ、良くお休みでした」
「まあ恥ずかしい」
倫子は昨夜の自分の痴態を思い出し、小さくほくそえんだ。
(つづく)