北極30えもん3 | biko先生のマネー奮闘記

北極30えもん3

「第一話 バイブえもん登場!」その3
「はあ、久しぶりに健康な朝だわ。たっぷり朝ご飯食べちゃった。あなた料理上手なのね」
倫子の通勤の為、スーツに着替え始めた。
「ええ一応、長期間のお勤めもありますので」
「長期間のお勤めというと、もしや愛人契約みたいな奴?」
「まあ、そんなものですね。一人のお客様に一定期間お使えする訳です」
「ほほー。でも高いんでしょ?」
「そうですねえ。ただ、量産型ですから購入しても二、九八○円」
「ええ!?じゃノーマルなバイブと同じくらいじゃない!?」
「そうですね。まあ、私の祖先はそのバイブですから」
「まあ!?あれがこんな風に」
「そうですね。最初、男性器の形をしただけのものが電動になって女性のお好みの動きが出来るようになり、その後、ぬいぐるみの股間にそれが付いてぬいぐるみを抱きしめながら出来るようになりました。ここまでは現代の話です。そこから今度は男性の腰を模(かたど)ったゴム製の模型の股間に装着されたのです」
「ええ!?腰だけなの?」
「ええ、殿方の腰を抱えながらいきたいという女性の要望が多かったものですから」
「なるほどね!」
「しかしすぐに男性の胴体のゴム製模型も必要になりました」
「ほほう?」
「やっぱり首にもしがみ付きたいと」
「分かる分かる」
「しかし程なく、手足も」
「やっぱり」
「抱きしめて欲しい、と」
「そうだよね。で、結局アンドロイドになっちゃったんだ」
「いえいえ、そんなに簡単にはいきませんよ。だいたいアンドロイドの開発は宇宙探査用に行われたものです。バイブが進化した訳では無いのですよ」
「そりゃそうだ!」
「もっともバイブ業界がアンドロイドを活用するようになってから、人工皮膚や肉の代わりとして使う弾性ゴムは飛躍的な進化を遂げました。また、人口海綿体もバイブ業界が作ったんですよ。それも私の製造元であるTOMOTAが開発したんですよ」
「すごーいい。それで人間の男性みたいに大きくなったり小さくなったりするんだね!」
「そうです」
「道理で感触が生々しかったわー。バイブって気持ち良いんだけど硬くてちょっと痛いのよね」
「TOMOTAの技術がそれを100%解消致しました」
「やったーTOMOTAばんざーい!」
「いえ、TOMOTAの技術はそんなレベルではございません。当社はかつて製造商品の一部としてピストンシリンダーを製造していた経過がございます。当時の技術を応用してアンドロイドの腰使いに、現物の男性では不可能なスピード、角度を実現しております」
「おお!たしかになんか凄く気持ちいかった気がする!フン!」
「ここにですね、お客様用の手動スイッチがございます」
「フン!フン!どれどれ!これかー。こいつがスイッチだったかー」
「はい、まず一番上が【ピストン(浅)】です」
「ピストンあさ?朝用のピストン運動?」
「いいえ、浅です。具体的に申しますと女性気の入り口で出したり入れたり」
「ひひー!!気持ちえさそー!」
「次いで二番目が【ピストン(長)】」
「超?」
「いえ、長。ロングストロークで出し入れ」
「おおお、ロングストローク、なんて魅惑的な響きなののの」
「三番目は【ピストン(深・捏)】」
「あのー、字が読めないんですけど」
「捏ねるはこねる、って読むんですよ」
「捏ね捏ね、なんて高貴な字なの。なんか皇室みたいな字」
「あんまり似てませんけどね。つまり奥で捏ね回すということです」
「ああん。もう駄目~ん」
「最後は」
「お願い、ぱんぱんやって下さい」
「はい四番目は【ピストン(深・突)】です」
「はふー!」
鼻息を荒げ、倫子はバイブえもんの膝の上に載った。パジャマからスーツに着替える途中だったので、パンティとブラジャーを着けただけの格好で、何時でも裸になれるという状況だった。
(つづく)