biko先生のマネー奮闘記 -5ページ目
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北極30えもん1

書くことが無いので、今日から小説を書いてみます。笑わないでね。

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「第一話 バイブえもん登場!」その1
「あぁ…うっ。ふぅ~。」あーあ、今日もオナニーしちゃった!ふー、さすがに彼氏居ない暦一年!しんどいわな~。
倫子(のりこ)は金融関係に勤めるエリートでモデル並のプロポーションと誰れもが振り向く器量の持ち主である。今日も美人の彼女には似つかわしくない安アパートの窓枠に持たれながらほてった体を沈めつつ、星を眺めていた。
『あーあ。気が付いたら恋人も、友達も、家族もいない。一人ぼっちかよぉ。それも全て自業自得。好きなように生きてきて、その結果だから仕方ないのよ。今更、済みませんでしたー、とか言っても誰も赦(ゆる)してくれないだろうし。今さらゆるしてもらおうなんて思ってないしね~。
何故こんなことになったかというと、従姉妹(いとこ)の千恵ちゃんの旦那とやってしまったのよ。何をってセックス。それがバレちゃって!でもセックスしただけなのに追い出されちゃった。何も千恵ちゃんの旦那奪おうって訳じゃないのにね。千恵ちゃんたら大げさに泣くもんだから、すっかり私悪者になっちゃってさ。私のとこいやらしい目で見てた旦那が悪いのよ。でも、私が近くに居なければ千恵ちゃんと旦那が元のサヤにもどれるって言うから出てきたのよ。
まあ、悪いことして島流しにあってるようなもん。
それで私は一人と。あれから1年かぁー、早いなー。
私って、なんか性欲が普通より強いみたいで、物心ついた時からオナニーしてたの。オナニーが子守歌みたいな感じ。オナニーのし過ぎで一浪したりして痛い目にも遭ったりして。けど生まれつきのもんだからどうしようも無いのよね。
それに大人になってセックスしてみたらこれがオナニーの数百倍良くってさ。
経験する毎に、いろいろ試して深みにハマってしまったって訳。最近はやや変態じみてきて、愛と性欲が別になってきちゃった訳よ。
ミニスカのスーツで仕事行くと取引先の重役なんかイチコロ。脂ぎった中年は嫌いだけど男共が私を見て仕事中に仕事そっちのけになるほど性的に興奮するのって見ててワクワクしちゃう。なんかこう理屈抜きの世界っていうか、一番本能的な部分で認められてるみたいでね。
『君はきれいだ』とか『すてきなスタイルですね』とか理屈は聞き飽きたって感じ。
だから理屈抜きに私をみてやりたそうな顔をしている人を見ると私もやりたくなっちゃうの。それも一生懸命やりたい気持ちを隠してる人を見ると我慢不能。こっちが濡れてきちゃう。千恵ちゃんの旦那も、そうやって一生懸命我慢してた。で、私の方が我慢できなくなっちゃった。
あー、でもそろそろ彼氏も欲しくなってきちゃったな。自分なりの執行猶予期間も終了したような気もするし。いつの間にやら三十歳だし。そーいえば、なんか急に持てなくなったような気がする。セックスもあれ以来といえば、居酒屋で意気投合した新入社員、スナックで意気投合した大学生、割烹のカウンター席で隣り合わせになり意気投合した板前職人を目指したけどほぼ挫折しそうな卵くん、など五、六人。どうしても思い出せないのが二人ばかりいて、そのうち一人とは間違いなくやったけど、もう一人が記憶が定かではない。いずれにせよ年下ばっか。彼氏にするなら二歳くらい年上の方がいいなあ。背が高くって手足が長くって、こう抱きしめられるとその長い手足が蛸(たこ)の脚みたいに私の身体を何十にも締め付けるの。あー、考えただけでオナニーしたくなっちゃう。ちな
みにオナニーはほぼ毎日してます。精神安定剤の一種だね。でもそろそろ心の通ったセックスがしたくなってきた』
倫子はずっと長い時間そんな取り止めも無い思いを巡らせていた。流れ星に願えば願いがかなうなどといういい加減な話を思い出しながら、星を見ながらそんなことを考えていた。ビールも500ml缶の二本目が空になろうとしていた。
『そんなにさ、格好いい人でなくてもいいのよ。優しい人ならさ。でも糞真面目なのは嫌。面白い人でなきゃ。それとあれは大きくないとちょっと駄目。まあ、細くても良いけどある程度長くないとなー。奥にあたらないからね!前なんか、太くて期待したら極短でさ。期待した分落ち込みが激しかったのよ。欲求不満になっちゃって。そうなると、またその辺の後腐れない若い人たちとやっちゃいそうだし、頼むからあれだけは長い人でお願いしまぁす。ってお願いすれば降ってくるんかいー!?』
そんな日が誰にも訪れることは多分、いや絶対無い。しかし、どうした運命の悪戯か彼女の前にその日は来たらしい。
「よっこらしょっと」
ここは二階というのに、知らぬ間に若い男が窓枠に手を掛け、這い上がってきた。
「ええ!?なんかあなた凄い私の好みなんだけど誰?」
「え?ご注文承(うけたまわ)りました者なんですけど」
「なぬ?出張ホストを頼んだ憶えは無いんだけど」
「ええ!?憶えが無い?お客さん、困りますねえそんないい加減なこと言われては」
「だって頼んでないもの」
倫子がそう言うと、彼は困ったような顔をしたまま首から下げたペンダントを開き何やらぶつぶつ言っていた。その間ずっと片手で窓枠からぶら下
がったまま。きっと学生時代体操部にでも居たんだろう。あるいは今流行りのフリークライマーか?しばらくして彼は
「なんだそうか!そうだったのか!!」
と独り言を言うとまた
「よっこらしょ」
と言って、勝手に倫子の部屋に入り込んで、窓際に正座して座ってしまった。知らない男が断りも無く部屋に入ってきたものの少なくとも見かけは
倫子の大好物、タレントの福山雅治にそっくり。或る意味、飛んで火に居る夏の虫で、このまま只で帰さない為にはどうすれば良いか、などと脳をフル
回転させてしまった。
「取り敢えず半年ほど居ます」
と彼。
「え?ええ?」
倫子は内心、嬉しいような、しかしここは一応、大人の女であるか良識を見せなくてはなるまい、と思い
「ちょっとあんた何者?勝手に人の部屋に入ってきて、尚且つ『半年居ます』だあ~!?(ちょっと格好良いからって)失礼してんじゃない?」
倫子がそう詰め寄ると彼は頭を掻きながら、真顔で言った。
「ご理解できないのは当然だと思います。私、未来から来たんです」
「未来?未来ってどこのお店?新宿?池袋?それとも浅草だったかしら?」
「ああ、たしかにこの時代で言えば出張ホストクラブみたいなもんですが、24世紀の未来のお店なんですよ」
「24世紀っていう名前なの、あなたのお店?」
「いいえ、だから理解できないのは分かりますが、よく聞いて下さいね。24世紀のあなたの子孫が今の貴方の境遇を不憫(ふびん)に思って私を
送ってよこしたのです」
「24世紀の私の子孫?私を不憫に思ってあなたを送った」
「そのとおり」
「じゃ、あなたター○ネーター?」
「いいえ違います」
「じゃあ何?」
「私はバイブえもん。またの名を北極30えもんと申します。女性のお独り寝のお供をするロボットです」
(つづく)

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