biko先生のマネー奮闘記 -2ページ目

北極30えもん25

「第ニ話 秘密のプレー」その14
『ぽーっぽっぽっぽっぽっぽ
ぽーっぽっぽっぽっぽっぽ
くわっくわっくわっくわ
ぽーっぽっぽっぽっぽっぽ
何でも食べちゃうジャンキーが、また隣の小屋から来てる。なんで?こいつは時々、他人の餌を荒らしにこっちの小屋へやって来る。困ったことに進くんと仲が良いのだ。進くんはこっちの小屋のリーダー。このなよなよした奴がなんでリーダーなのか理解に苦しむが、他の仲間によると「人生に一度だけまぐれ当たりした」のだそうだ。何にまぐれ当たりしたんだろう?人間にでも褒(ほ)められたのかな?
ちょうど人間がやって来た。名前は知らない。人間という奴は男か女かも良く分からない。ただ、親切な奴で1日に一回、食べきれないほど食べ物を置いていってくれる。毎日、同じ物が続くのが玉に瑕(きず)だが。
やったー!!今日のご飯は栗!ここのところ毎日、麦ばっかりだったもの。飽きちゃった。栗って甘いから好きなのよ。皮を剥(む)くのが面倒だけど。そういえばジャンキーと進くんが以前「栗は皮かぶりだ」って言ってたな。なんか同じピラーズに入居する社長の集まりで温泉旅行に行った時に見たんだって。温泉旅行?
ジャンキーと進くんがまたわたしの後を付回し始めた。
こーっこっこっこっこ
もう、やりたいならやりたいってはっきり言えばいいのに、ただ後を付回している。
こーっこっこっこっこ
時々わたしのお尻の匂いを嗅いだりして、いやらしい!こんな連中になんか絶対やらせてやらない。わたしがOKなのは「抱きたい」とかはっきり言ってくれる男らしい?あれ?オスらしいか!そういう人?っていうかオス。
ああ、そんなこと考えてるうちになんかアソコが熱くなって来ちゃった。あれ?なんか出ちゃう。なんだろう。あああ、卵?誰の卵なの?お父さんは誰?えーっとえーっと。分からない。もう一年以上やってないし。あれ?でも北極とやったか。北極?あれはバイブじゃん。なにそれ?ああ、でるうう。そんなこと考えてる間に出ちゃう。卵があそこから。ああ、嫌!ジャンキーと進くんが覗(のぞ)き込んでる。嫌、あっちへ行って!あんた達の卵なんかぜーーーーったい生まないんだから。でも、あああ。出ちゃううううううう』
倫子は、鶏になった夢を見ていた。そういえば子供の頃、おねしょをする時は決まって洪水の夢を見たものだ。夢というものは、人間の身体に起きたありきたりな現象を、見事にドラマ化してくれる。スペクタクル物の映画が好きな倫子は、名優スティーブ・マッキャーンンが主演した大洪水を描いた大作「ホテルはリバーサイド・インフェルノ」を見た時、おねしょの時の洪水の夢とあまりに酷似していたことにショックと感動を覚えた。もし自分が子供の頃から夢日記を付けていたなら今ごろスペクタクル小説の大作家になっていたかもしれない、と思ったものだ。
つまり、夢と似たようなことが起きてるのだ、と倫子は思った。夢?ということは自分は寝てしまったのか?なぜ?だいたいここはどこ?今だ眠りから完全には覚めやらぬ倫子の頭に、幾つもの?が浮かんだ。
『えーっとえーっと』
考えてるうちに自分が目を閉じていたことに気付いた。不思議に思い目を見開くとジャンキーと進くんが覗(のぞ)き込んでいた。
「ぎやーーーーーー!!!!」
倫子は力一杯悲鳴を上げ、逃げ出そうと起き上がるとジャンキーと進くんはハードジャンク・インベスターズの西尻と社長だった。彼らが倫子の顔を覗き込んでいたのだ。
「倫子ちゃん、大丈夫?」
社長が心配そうに倫子の顔を覗き込んだ。
「もう少し、休まれた方がいい」
と西尻が、起き上がった倫子の肩を押し、ソファに寝かせた。
どうやら自分は失神したらしい。北極30えもんをアソコの中に入れたまま彼らと話してるうち、気持ちよさと忍耐の狭間(はざま)に耐え切れなくなったのだ。
「でも良かった。倫子ちゃんおもらししちゃったんじゃないかって心配しちゃった」
そう、彼らには昨夜飲み過ぎた為、腹の調子が悪いのだ、と説明してあった。
「あ、いえ大丈夫です」
「ええ、でも気絶したとき、なんか変な音が。ねえ、西尻ちゃん」
「あ、え、ええ」
「ええ!!どんな音です?」
「そう、なんていうか、『ヌポッ』?」
「ヌポッ?」
「そう」
倫子は最高に恥ずかしかった。子供の頃、庭でおしっこをしていたのをクラスで一番格好いい純君に見られた時より恥ずかしい。それどころか、大人になってから同級会で純君と再開、意気投合しホテルへ直行、ラブラブでいちゃいちゃして、さあ!本番という段になった時、
「おれ、倫ちゃんのおしっこするとこ見たい」と言われ、風呂場でおしっこさせられた時より恥ずかしい。そんな長々とした記憶が走馬灯のように倫子の脳裏に蘇った。
それはともかく、独身なのにこんなおやじ達にそんな自分の身体の音を聞かれてしまうなんて、普通に考えて恥ずかしかった。倫子は、再び意識を失いそうになるのを、やっとのことで堪(こら)えた。
「ところで倫子ちゃん。トイレ行った方がいいんじゃない?」
「ええ?あ、はい。それじゃお言葉に甘えて行ってきます」
立ち上がった倫子は重大なことに気が付いた。目を覚ましてからアソコの中に圧迫感が無いのが気にはなっていたのだ。しかし、まさか完全に外へ出てしまったとは思わなかった。どうやら北極30えもんはパンティの中で伸びているらしい。お股とパンティの間に異物があるのが分かる。しかしピクリとも動かない。依然、気絶しているのか?まさかアソコの中で溺死?いいや彼はアンドロイド、だっけ?ロボットとか言ってたけど、レプリカント?いかなる過酷な任務も追行してきた筈よ。でも、ちょっと心配。そう思って倫子は立ち上がった。
するとびよーん。北極の重さでパンティがずり下がってしまった。
『これはやばい』
まるでパンティの中に大型のうんちを漏らしてしまったような気分だ。倫子は両の内腿で北極30えもんを挟み込み、そのまま歩き出した。
「なあに?倫子ちゃん変な歩き方、妙な内股」
「いいえ、お気になさらずに」
そう言って倫子は内股のままトイレに向かった。ドアの締め際、社長から呼び止められた。
「そうそう、トイレで一段楽したら、もう一度顔を出すように」
オカマ言葉で無く、まともな男性の喋り方に変わっていた。
「重要な話がある」
とも。
「どのような?」
との倫子の問いに
「なあに、倫子君なら簡単。単なる栗拾いさ」
そう言って社長はダンディな笑いを漏らした。ハードジャンク・インベスターズの西尻も一緒に笑い出した。彼らの笑い声を聞きながら、倫子は内股歩きのままトイレに向かった。
(つづく)

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総集編16~20回

★16「第ニ話 秘密のプレー」その5
セミナー会場に戻った倫子は雛子対策を考えながら席に向かって歩いた。途中、満里奈と里香がいることにも気付いた。
『この連中も油断ならねー』
倫子は取り敢えず北極30えもんに注意を促さねばと考えた。
席に戻ると
「ねえ」
と小声で北極30えもんに話し掛ける。が、反応が返ってこない。小声過ぎて気付かないのか?そこでまた
「ねえ」
と言いながら、今度は脇腹を肘で突付いてみた。が、同じである。寝ている?目は開いている。仕方のないので少し揺すってみるが反応が無い。
「ちょっと北極30えもん!」
と耳元で声を掛ける。無反応。
「ちょっと北極30えもん!!」
ともう少し大きい声で言った。しかしまた無反応だ。まさか壊れた!?
「ちょっと北極!」
倫子は焦(あせ)って大声を出してしまい、周りに座る者達から注目されてしまった。また、講師の爺さんにまた
「こほん」
と咳払いをされてしまった。倫子は小声で
「済みません」
と呟(つぶや)いて小さくなった。それにしても北極30えもんはどうなっちゃったというのだろう?
声を掛けても突付いても押しても引いてもさっぱり反応が無い。壊れたか。倫子はがっくりとうな垂れた。そして思い出したようにバッグから北極30えもんの本体を取り出した。たしか北極30えもんはそれを右のポケットから取り出していた。そこで元の右ポケットに押し込んでやった。すると、
ちゅいーんんんん、ちゅいんちゅいいいいいーんんん、ちゅいんちゅいちゅいんちゅいーーーーーーん
という機械音がした。倫子は驚いて北極30えもんを見た。すると北極30えもんの目に細かい数字が流れるように表れては消えた。そして10秒くらい立って
「ああ倫子さん」
北極30えもんは目覚めた。
「良かったー」
と倫子は思わず大声を上げてしまい、再び周りの顰蹙(ひんしゅく)を浴びたが、そんなことはもうどうでも良かった。
「壊れたのかと思っちゃった」
と倫子が言うと
「十分以上本体を取り外していると、機能を停止するんです」
と、北極30えもんが言った。
「それなら最初から言ってくれれば」
「まさか倫子様がセミナー中にこれほど長時間楽しまれると思っていなかったのです」
まあ、と倫子は赤くなってしまった。たしかに、さきほど出て行ってから一時間近く経っている。雛子とのやり取りを差し引いてもゆうに30分はやってしまったのだ。倫子は少し反省した。
「あー、早く部屋に帰って北極30えもんとセックスしたいよー」
と倫子は心の中で叫んだ。
(つづく)
★17「第ニ話 秘密のプレー」その6
そんなこんなでセミナーがようやく終了した。
「ぷはーっ。やっと終わっだーー!!」
倫子が席から立ち上がり、両手を突き上げて背伸びしながらそう叫んだ。それは自由の叫びのようだったが、まだ講師の爺さんがいた。
「こっほん」
とまた咳払(せきばら)いされた。
やべ!
と思ったが後の祭り。爺さんは両手の平を天井に向け首を横に振っていた。まあいい。まあいいのだ。どうせ爺さんは客ではない。官僚の後輩が如何(いか)に気を使おうとも、下々の庶民相手の倫子の仕事にまで嫌がらせすることは出来なかろう。
そんなことより早く帰らなくては。ぐずぐずしているとハイエナの群れ、といっても一匹&二匹だが、彼女達に見つかってしまう。
「のーりこさん」
ハイエナ2号の声がした。なんと抜け目無い!もうここに来ている。
「あら、どうしたの満里奈さん?」
「そちらの方を紹介して頂こうと思いまして」
「え?だって彼、ただの派遣からきたアルバイターよ。紹介なんて、嫌だわーほほほほほほほほほほほほほほほほほ」
「わたし満里奈っていいまーす。よろぴくね!」
って勝手に自己紹介した。
「里香ちゃんでーす!今日これから忙しいんですかー?飲みに行きません?ね?いいでしょー。割り勘でいいですよ、割り勘で」
いきなり誘ってきたのだ。
「ちょっとちょっと皆さん。彼はこれから私とお仕事のお打ち合わせがあるんでございますの。ご宴会その他はまたの機会にお願いしますねー」
ほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほ
と倫子は笑いながら満里奈と里香を突き飛ばし、北極30えもんの腕を引っ張って会場の出口に向かった。一番危険な雛子に見つかる前にここを去らねば。横目で見るとのろまな雛子はまだ席から立ち上がっていない。
よしっ
と出口から出ようとしたところで
「倫子ちゃ~ん」
と声を掛けられた。社長だ。
「何か?」
と、迷惑そうに返事をしたが、
「えーとっ、えーとっ、」
とはっきりしない。この社長は大して用が無いくせに話し掛ける癖がある。へたをすれば長時間拘束(こうそく)されかねない。
「あの社長。私急いでおりますので」
「そんな冷たいこと言わないでよー倫子ちゃ~ん。安心して相談できるのは君だけなんだよー」
相変わらず気持ちの悪い野郎だ。しかし社長だから仕方が無い。
「何か、問題でも?」
「問題って訳じゃないんだけど、なんかー、今日のセミナーどうだったー?ハードジャンク・インベスターの野郎がさー、なんかいいように」
つまり愚痴か、と倫子は思った。愚痴であればキャバクラにでも行ってキャバ嬢に聞いてもらえばいい。
「あの社長。その件は明日、社長室へお伺(うかが)い致しますので」
「う~ん、でもー。駄目なんだよねー明日じゃーーーーー」
ああ、もうじれったい!と倫子は思った。早く北極30えもんをここから連れ出さなきゃいけないのに、と思ってふと気付くと北極30えもんがいない。腕を掴(つか)んでいた筈なのに、社長との話しに夢中になって離してしまったらしい。倫子は慌てて周りを見た。セミナーが終わり、会場からエレベーターホールに向かう人の波の、どこを見ても見当たらない。まさか!?雛子に誘拐?
倫子は落ち着こうと務めた。こういう時は落ち着いて犯人の身になって考えるのだ。おそらく予想の逆手を取るに違いない。と、いうことは、普通誰もがエレベータホールに向かうと考える、つまりその逆。倫子はエレベーターの方向とは逆方向を見た。そして
は!
と重大な事実に気付いた。その方向には滅多に使わないので気付かなかったが非常口、つまり階段があった。倫子は人波に揉まれながら非常口の方へ移動した。すると開いている筈の無いそこ非常口の開かずの扉が、今まさに閉じようとしていた。誰かがそこから階段へ向かったのだ。締まる直前に扉の隙間から僅(わず)かに青い色が垣間見えた気がした。たしか北極30えもんは青い服を着ていたのだ。
「ほっきょくーーー」
泣き出しそうになった倫子に
「だからさーー、それでさーー、なーーー、ねーーー、けーーー、こーーー、もーーーー」
と社長が話し掛けてきたので、仕方なく彼の鳩尾(みぞおち)へ肘撃ちを喰らわせた。
「アン!社長失礼!あんまり混んでてエルボーが入っちゃった」
社長は白目を剥(む)き人波の底へ沈んで行った。
「ほっきょくーーーーーーーー」
倫子は非常口へ向かって全力疾走を始めた。
(つづく)
★18「第ニ話 秘密のプレー」その7
鋼鉄製の思いドアを開くと、薄暗い非常階段があった。階段も鋼鉄製。その鋼鉄を踏む靴音が遥か下、地獄の底からで聞こえてくるように小さく
かんかん
と鳴り響いてきた。耳を澄ますと
かんかん
ではなく
かかんんかかんんかかんん
つまり、二人の靴音だ。二人は倫子から逃れ、どこへ逃避行しようというのだろう?
「ほっきょくーーー逃がさないわよー」
って北極30えもんが逃げようとしてる訳ではなく、雛子が攫(さら)ったのだった。思い直して
「ひーーーーなーーーーこーーーー」
と倫子は悪魔の叫びのような声を上げ、二段飛ばしで階段を駆け下りた。倫子の怒りは二段飛ばしを三段飛ばしにし、更には四段、五段とスピードを上げ、遂には斜面を全速力で駆け下りるかのような速さに達した。折り返しでは鋼鉄製の手すりに捕まり、遠心力を利用して更にスピードアップした。そして、遂にその視界に逃げ降りる二人の姿を捉(とら)えた。
「おーーーいーーーまてーーーーこらーーー」
と叫び、あともう少しというところで二人の姿が忽然(こつぜん)と消えた。
「あれ?」
急ブレーキを掛け、全速力で走ったため捲(ま)くれ上がったタイトスカートを降ろし、周囲を見渡した。こんな閉鎖された場所に隠れるところなどどこにも無い筈。倫子は今度はゆっくりと階段を降り始めた。すると、
かっっっっっったん
といって静かに閉まった扉があった。
「ここから中に入ったわねーーーーーーー」
倫子はその非常扉を開け、中に駆け込んだ。日曜日のオフィスはどこも閉まっていて、がらんとしていた。廊下の電灯も非常用しか点いておらず、夜間のように薄暗い。先ほどの非常階段の方がまだ明るかった位だ。おそるおそる廊下を進む。廊下の先がエレベーターホールになっており、ここから丸見えだが、そこに人影は見えない。
「おかしい?」
と倫子は思った。どこかに隠れたのかしら?しばらく歩いてみたが何も音がしない。人の気配など勿論無い。
先ほど非常扉が小さく閉まる音がしたので、ここの階へ二人が逃れたのだと勝手に解釈したが、たまたま扉がきちんと閉まっておらず、倫子が階段を駆け下りた衝撃で閉まっただけかもしれない。と、なると二人はこの階に居ない。思い直して倫子は非常階段の方へ戻ろうと向き直った。来た時の半分ほど戻りかけたところで、倫子は聞きなれない音を耳にした。
きーっきーっきーっ
それはとても小さな音で、よほど耳を凝(こ)らさなければ聞き取れないほどの小さな音だったが、都会の真中とは思えないほど静まり返ったこの場所で、神経が敏感になっている倫子には十分聞き取れた。
「何かしら?」
倫子には、その音がどこから聞こえてくるのか、その方向が分かっていた。それは給湯室の隣の女子トイレに違いない。
「蛇口がキチンとしまってないのかな?いいえそんなことないわ。ここの蛇口はみんなセンサー式だもの」
ではいったい何の音だろう?
女子トイレのドアを、なるべく音を立てないように開けた。誰も居る気配は無い。それでも中へ入ってみる。個室のドアはどれも開いたまま、と思ったら一番奥の一つが閉まっている。
ひいいいいっ
倫子はこのまま引き換えそうと思ったが、好奇心がそれに勝った。いや、それ以上にその
きーっきーっきーっ
という音が更に大きくなり、いや、きーっきーっでは無い。
いーっいーっいーっ
だ。それは悪霊の呻(うめ)き声のように、大きくなっては小さくなり、小さくなっては多きなりを繰り返していた。明らかにそれは意思を持ったものの吐息である。
よく見るとその閉まった個室のドアは鍵を掛け忘れているらしい。僅(わず)かに開いている。
「お願い、迷い込んだ猫とかでいて!」
倫子はそう願いながら、胸の前で十字を切りドアを開けた。
あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
悪魔の叫びが鳴り響き、眩(まばゆ)い光線と風が吹き荒れたーーーーー、ということは無い。
「あれ?倫子様」
「あーーーーー!!何やってんの!?北極30えもーーーーーーん!」
「え?雛子様が倫子様から頼まれたと」
便器を跨(また)ぐようにして壁に手をついた雛子が
ぜーぜー
と肩で息をしていた。彼女のお尻にはなんと北極30えもんバイブが今まさに刺さらんとしている。いや、先っぽが少し入っている。
「ちょっとーーーー!!どういうこと」
「雛子様が『倫子さんから試してみてって言われたの』と言われましたもので」
「そんなこと言ってなーーーーい」
倫子は慌てて北極30えもんを雛子から離し、そそくさと彼のズボンを上げた。
「倫子さーんんん。お願いー。ちょこっとだけでいいから。もう駄目なの収まりがつかないの。このまま放置されたらどうにかなっちゃう」
「どうにかおなり!」
そう捨て台詞を吐いて倫子は北極30えもんの腕を牽(ひ)き、出口に向かった。
がちゃっ
と音がするので振るかえると
「絶対頂いてやるーーーんんん」
と雛子が泣き出しそうな声で呪いの言葉を呟(つぶや)いた。かつてのカーリーヘヤーと見紛(みまが)うほどウエイブの入った超ロングヘアーという変な髪形で、エロい気分が最高潮に達した気だるさと半べその表情も手伝って、雛子の様は魔女のように見えた。
「ちょおぉーこ・わ・ひ」
と倫子は思いながら、トイレを後にした。
(つづく)
★19「第ニ話 秘密のプレー」その8
「ちょっとあなた何考えてるの?ねえ、雛子と途中までやったんでしょ?」
「ペッティングのサービスまではさせて頂きました」
「んっまー!!もう!!あんた私専用なんでしょ!!」
「しかし色々な趣味の客様がいらっしゃるものですから、お友達にお貸しして自慢なされる方も」
「私はそういう変態じゃないわ!」
「こういう時の為にパスワードを設定することが出来ます」
「パスワード?」
「パスワードを言わないとプレイ機能が起動しません」
「ほほーそれは便利。盗まれても大丈夫ね。どんなパスワードにしようかなー」
「憶えやすいものがよろしいかと」
「そうね。それじゃ生年月日にしようかしら」
「承りました」
今日は大変な日になってしまった。明日から毎日北極30えもんを帯同しようと思ってたのに、いろいろ問題がありそうだ。。
社長は多分、ノープロブレム。北極30えもんのことをサポートのスタッフとして雇いたいと話せばNOとは言うまい。どうせ当社はペイ・フォー・パフォーマンス、簡単に言えば出来高制。或る意味、スタッフの雇用はそのグループの責任者、つまり倫子の判断なのだ。
それより問題は女どもだ。北極30えもんを虎視眈々(こしたんたん)と狙っているに違いない。特に雛子は危険だ。
雛子のグループの責任者、ヒンマゲール・モゲルに相談してみようか。でもなんて相談すればいい?人のバイブに手を出さないように言って下さい、とか?そんなこと言ったら自由主義をこよなく愛するヒンゲマールは
「No!倫子さーん。Sex=FreeMarketでなければなりません。あなたと雛子、どっちがMrノースポール・サーティーe-monにふさわしいか、自由に競争すべきでーす」
とか訳の分からんことを言い出すに違いない。
「でも北極30えもんは私の持ち物なのよ」
と主張すれば
「Oh!No!倫子。あなたは間違ってます。物件の所有権は移動するのでーす。売買や譲渡によって。それは敵対的買収も含まれるのでーす」
話すのも嫌になるほどの馬鹿だ。
尚且つ彼の場合、表向きそう言いながら
「まだ闇市の利権は渡さなくていいよー。3社で談合して決めればOKさ」
とか彼の本国、旧・共産圏に住まう家族とこっそり話してる。つまり信用ならぬ奴だ。下手すれば北極30えもんを売り飛ばす危険すらある。
「はあ、いろいろ考えてたら頭痛くなっちゃった」
考えてみれば一目散で六本木ピラーズからアパートに逃げ帰ってきたのだ。
「ねえ、なんかぐったり」
と言って倫子は北極30えもんの膝の上に乗った。
「今日は如何様(いかよう)なモードでなさいますか?」
「うーーんん。あちょこをなめなめして、三十分くらい舐(な)めっ放しがいい」
「承りました」
ちゅっちゅっちゅっちゅっちゅっちゅっちゅ
ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ
ちゅーちゅーちゅーちゅーちゅーちゅーちゅーちゅー
ぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃ
「ほちいよ」
ぬぬぬぬっぽしっ
「あああああっっ」
にゅっちゃにゅっちゃにゅっちゃにゅっちゃにゅっちゃにゅっちゃ
「ああ、もう!ぱんぱん!」
ぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱん
「あぎゃー!っ」
ふーっ
倫子は北極30えもんの腕の中で安らかに眠るのだった。
(つづく)
★20「第ニ話 秘密のプレー」その9
「取り敢えずパスワードもセットしたし、これで大丈夫ね」
そう言って倫子は両手で北極30えもんの両肩をポンポンっと叩いた。出社前、倫子は北極30えもんの身体をチェックしていた。
「でも面白いわよねー。パスワードの入力まで本体でやるなんて」
「本体が全ての情報を保有しておりますので」
「へえ、じゃ携帯のメモリーみたいな機能なのね」
「そうです。固体の識別番号もここで保有しております」
「識別番号?」
「そうです。例えば私であれば[北極]工場製の[30]番、[えもん]モデルという情報です」
「ほほー、そういう意味なのね。でも、そういう情報が本体にあるってことは、身体はどうなのよ?だって取り外せるんでしょ?」
「ええ。お客様によっては身体の方をスリム、ノーマル、マッチョと3種類ほどお持ちになっていて日替わりで嵌(は)め替えてご使用されている方もいらっしゃいます」
「ええ!?なんか複雑ねー。だって顔も変わる訳でしょ。違う男とやってるみたいじゃん」
「しかし本体は一緒ですから」
「そうねえ。どんなものかしら?あれが一緒なら一緒かしら」
「お試しになられますか?」
「ええ!?えー?えー。そうねえー。うーん。えーっと。どうしよう?」
「そんなに面倒ではございません。五分ほどでこちらに届く筈です」
「でも私、北極30えもんのとこ気に入ってるから、なんか浮気しちゃうみたいで気が引けちゃうわ」
「ああ、でも私は私ですよ。人工頭脳のハードは替わりますがデータは全て本体のメモリーが保存しておりますから」
「なるほどー!じゃ、北極30えもんの記憶は全部ある訳ね」
「そうでございます」
「ならいいか。単に身体が違うだけで同じ北極30えもんだもんね」
「ちなみにこんなタイプがあります」
「どれどれ。う~ん。面白いけどこういう男性に抱かれると思うとなんか抵抗があるなあ。やめた!今のままがいいよ」
「そうでございますか。ちなみに顔はそのままで身体だけ変える、というパターンもあります」
「ええ!?う~ん、それっていいかも。それも五分くらい届くの?」
「いえ、それは標準機能に付いておりますので、今すぐ」
「ええ!?」
「このボタンを」
「このボタンってあんた乳首じゃない」
「右の乳首を押すとマッチョへ、左を押すと痩せ型へ変化します」
「どれどれ、あれ?あんまり変わらないよ?」
「押す回数で度合いが変わります」
「なるほど!じゃあ」
ぴっぴっぴっぴっぴっぴっぴっぴっ
もこもこもこもこもこもこもこもこもこもこ
「ああ!!なんか凄ーい!筋肉でごつごつして血管まで浮いてるー。なんか身体がちんちんみたいー」
「この血管がリアルでございます」
「いや!なんかいやらしい!その身体」
「お気に召しませんでしょうか?」
「ええ!?う~ん。まあああ、ちょこっとやってみたく」
「お時間がございません」
「ちょこっとなら遅れても大丈夫。社長9時過ぎなきゃ来ないもん」
「承りました」
「それじゃ忙しいから立ったまま」
倫子は立ったままタイトスカートをたくし上げた。
「バックからでごさいますか?」
「ううん。前からちて。ぎゅうううって抱きちめながら」
ぬりゅんっっっ、
ぬりぬりぬりぬりぬり
ぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう
ううううううううん
ぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう
ぬっちゃぬっちゃぬっちゃ
ぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう
あ、あ、あ、あ、あ、
ぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう
ぴんぴんぴんぴんぴん
「中でお願い!」
どっぴゅん!
はふーっ
「ああ、ぎゅうぎゅうっていいわね身体の中身が出ちゃいそうなほど感じちゃった」
(つづく)

総集編11~15回

★11「第一話 バイブえもん登場!」その11
「・・・ということで、70年代後半から80年代前半のアメリカは南部重工業産業界いわゆる六つの柱、シックス・ピラーズと呼ばれる集団と、もう一方でニューヨークを中心とした新しい産業、ソフトウエア産業界を中心にした東部エスタブリッシュメントの2大勢力が凌(しの)ぎを削っておった訳で、例えば大統領選挙においても共和党、民主党というイデオロギーをベースにした支持というものより、投票の動向に大きな影響力を与えた訳であります・・・」
おやじの思い出話?と思われるようなセミナーを聞いて何になるのだろう?と倫子は思った。講師は日本のトップ・シンクタンク丸光総合研究所の主任研究員。よくテレビに出てる。でもジジイだ。
「ニクソン大統領が『フロー』と口にしたことにより、世界経済は一気に固定相場制から変動相場制へと・・・・」
これは中学校の歴史の授業だろうか?今日の演題は「温故知新ふるきをたずねてあたらしきをしる経済セミナー」。たしかに歴史を知ることは大切だが、こんな話を延々5時間も聞かされては忍耐も限界だ。
また時折、
「ヘンリーがね。僕に言うんですよ『本音は逆なんだよ』ってね。それでこれは見方を誤ったら大変だと・・」
とか
「JKから直接、電話を貰ってね『君にだけに教える』ってね。そしたらね・・・」
とか
「ジャックはね、大胆な中にも繊細な男でね。キャディーに言うのよ『1インチフックと言ったが、1・2インチの間違いだったな』って・・・」
とか、多分、全部その当時の偉い人の話してるんだろうと思うが倫子は全く知らなかったし、知りたくも無いと思った。だって、こいつの自慢話に何時間付き合わせるんじゃー!!と思っていたからだ。
などという先週のセミナーの話を思い出しながら倫子は明日のセミナーに提出するレポートをまとめていた。
「大変でございますね」
「もうほんと!馬鹿みたい」
「でも大切な知識ではないのですか?」
「まあジジイのご機嫌取りには大切だわさ」
「大分ストレスがお溜まりのようで。肩でもお揉みしましょうか?」
もみもみもみ
「ああ、ねえーん。胸も。お願い」
もみもみもみ
「あっ、ふーん」
もみもみもみ
「気持ち良くなって来ちゃった。ねえ、またやって」
「お仕事の途中では?」
「いいのよ。こんなの。後で適当に資料から書き写せば。それよりなんかとろーんとしてきちゃった。チューして」
ぺろぺろぺろ
ぺちゃぺちゃ
「ああふーんん。もう・・・」
くにょくにょくにょくにょ
ねっこねっこねっこねっこ
「ああ!!またぱんぱんが!!」
ぱんぱんぱん
「ふーっ、またいっちゃった」
「少しお休みになったら、お仕事しませんとまずいんじゃ?」
「えー!?余韻に浸ってるのに無粋なこと言わないで!」
「しかしご子孫様によりますと、倫子様は大学受験の際、オナニーのし過ぎで一浪なさったと」
「ええ!?なんで知ってんの?」
「ご子孫様は未来から見ております」
「やだー!プライバシーの侵害!個人情報保護法違反よ。本人の同意無いじゃない」
「未来にそのような法律はございません」
まあいいや、と倫子はむくれながらも再びレポートに取り掛かった。
「ねえ、北極30えもんってセックス以外に何か出来ないの?」
「まあ、基本的にバイブですから」
「そうよね」
「まあ、レポートくらいなら書けます」
「ええ!?ほんと?」
「はい。なにか素材をいただければ」
「えーと、前回のセミナーで配布された資料はこれと、これかな」
「はい、ちょっと見せて下さい」
そう言うと北極30えもんは5秒ほどで資料に目を通した。
「このパソコンのUSBの差込口はどちらです?」
「えーと、後ろ側」
「ああ、ここですね」
おもむろに北極30えもんはズボンを下ろした。
「ああ!またするの!?情熱的で素敵!」
「いいえ、USBへ差し込むんです」
見るとペニスがUSBのオスになっていた。
「あれ?ちっちゃい」
倫子がそういう間に北極30えもんはUSBペニスをパソコンのUSBソケットに差し込んだ。
ういんういんういんういんういんういんういんういんういん
「ちょっとー何この音ー!?あんたパソコンとセックスしてるんじゃないでしょうね?」
「データをインポートしてるんです」
「やっぱりインサートしてるんじゃない!?」
「ふー、終わりました」
「もう。パソコンにインサートするなんて変態!!」
「ではプリントアウトしてみて下さい」
がちゃこんがちゃこんがちゃこんがちゃこん
「ああ!?ちゃんと出来てる。凄いじゃない!」
「どういたしまして」
「こりゃ使えるぞ。週明けからこっそり北極30えもんを使って仕事しよ。いや、明日のセミナーに連れてこう。ひひひ」
(つづく)
★12「第ニ話 秘密のプレー」その1
日曜日だというのに、六本木ピラーズのセミナー会場は人でごった返している。入居している企業の合同セミナーだからだ。
企画したのは同じく六本木ピラーズ入居組、総合インターネットサービス企業グループ株式会社家畜獣ヤプー、の親会社の関連会社ハードジャンク・インベスターズだ。勝ち組みベンチャーばかりがお互い睨(にら)みを効かせ合いながら割拠(かっきょ)するこのピラーズで、同居各社に
「合同セミナー開きましょう。1社一千万の格安ですからピラーズ入居組にとっては昼飯代わりっすよ。仕切りは全部ウチでやっちゃいまーす」
と持ち掛けてくるとはいい度胸をしている。それに輪を掛けて断るのも癪(しゃく)になるような言い方が憎い。
エントランスはセミナー参加者でごった返していた。倫子が、人を掻き分けながらエレベーターの方に向かって歩いていくと、倫子の会社の社長とハードジャンク・インベスターズの社長がタバコを吸いながらこそこそ話していた。
「西尻ちゃんずるいよ。でもおれ、そういうの好き。また今度おれもずるいこと考えるから、その時はのってね」
と社長が西尻に言っているのが聞こえる。そこで、そちらの方向に顔を向けると
「あ!倫子ちゃん。ちょっと、こっちこっち」
と社長が呼ぶので、二人の方へ向かう。しかし!!そこで気が付いた。
「あ!」
「どうなさいまいた?」
「どうなさいましたって、あなたよ。まずいわ」
「まずいですか?」
「まずいわよ。『その男誰だ』って話になっちゃう。だから、ちょっとその辺で隠れてて」
そう言って沢山ある柱のうちの一本の影に北極30えもんを隠れさせた。
「やあやあやあやあやあ倫子ちゃん、おはよー。あ、この人知ってる?ハードジャンク・インベスターズのダースベイダー西尻ちゃん」
そう言われた西尻は
「ダースベイダーはひどいよ」
と軽くいなしながら倫子の方を振り向きヒューっと唇を小さく鳴らしながらウインクしてきた。倫子は内心『ゲゲッ』と思ったが、飲み込んだ。
「だってそうじゃない。正義の味方かと思ったら有り金全部持ってっちゃうんだから」
まだ社長は言ってる。余程、今日のセミナーをハードジャンク・インベスターズに仕切られたのが気に入らないらしい。仕方なく倫子は西尻に助け舟を出した。
「社長、ダースベイダーは本当に正義の人だったんですけど、色んなことで悩んで悪の道に落ちちゃったんですよ」
「ええ!?それほんと?倫子ちゃん。じゃ西尻ちゃんの方が悪者なんだ。悩んでないもん。ナチョラル・ボーン・キラーズ。ひひひ」
「おいおいそれは幾らなんでもひどいよ」
はははひひひふふふへへへほほほ
などとわざとらしい笑で話は一段落した。
「ところで西尻ちゃん。彼女、倫子ちゃん紹介します。当社のナンバーワンセクシー社員」
「イーーヤホホッーイェイ。最高に僕の好み!また会社に遊びに来てよ。33階!」
「西尻ちゃん、そのまま引き抜きは駄目だぜ」
「バレたか」
ひひひふふふへへへほほほははは
笑い方から推察するにこの二人は間違いなく仲が悪いに違いない、と倫子は思った。
「セミナーが始まってしまうので行きます。また後ほど。ほほほ」
と倫子は卒なく逃げた。
セミナー会場に付くとほぼ満員。前の方が幾つか開いているが北極30えもんと並んで座るとするなら一番前の列しかなさそうだ。
「仕方ない」
と倫子は北極30えもんを引き連れ、一番前まで歩き始めた。すると
「倫子さん!」
と通路の真中辺りで声を掛けられた。同僚の満里奈である。隣には里香もいた。二人は入社3年目でちょうど仕事にも会社にも人間関係にも馴れ切ったところだ。まずいのに見つかった、と思ったが後の祭り。案の定
「ねえ、倫子さん一緒に連れてる人誰ですー?」
と訊いてきた。こういう場合を想定して言い訳を考えとくんだと思ったが今更仕方が無い、咄嗟(とっさ)に
「派遣の子よ。ヌットイレルから来てるの」
「ああ、44階のヌットイレル社から。へえ」
「そう」
「じゃ、倫子さんのいい人じゃないんですね」
「え!?何馬鹿なこと言ってんの?仕事よ仕事。仕事のお付き合い!」
「良かったー。私好みなんですこういう人。満里奈って言いまーす。よろしくね。うふ」
「えーえー。私も凄ーい好み。だってー福山雅治にクリソツじゃーん。わたし里香。あとで携帯のメルアド交換してもいいですかー?」
やはりこの馬鹿OLどもにあったらどう対処するか、事前に考えておくべきだった、と倫子は後悔したが取り敢えずこの場は勢いで乗り切ることにした。
「もう始まるわよ!」
そう叱るように言い、北極30えもんの腕を引いて最前列まで歩き出した。と、その瞬間、
『誰かが見ている!?』
なにやら背筋が凍りつくような恐ろしい視線を感じた。視線の方に振り向くと彼女がいた。
「う、内田雛子!」
満里奈、里香と同期のくせに無口でとっつきにくい女。超長髪で顔にまで髪が掛かっており、その間から瞳だけが覗いている。女子社員の間では陰で「貞子」と呼ばれていた。
しかし、こういう女ほどこと男については侮(あなど)れない、と倫子は思っていた。どうやら満里奈、里香と同様、北極30えもんに興味をもったらしい。そういえば以前、彼女の携帯を覗いた時、福山雅治の写真を待受画面にしていた。
最前列ということは、今日一日、この女の視線を浴び続けなければならないのか?
『ひいいいいいいいいいいいいいいい』
倫子は恐怖におののいた。
(つづく)
★13「第ニ話 秘密のプレー」その2
「ピーターが忠告してくれた訳です。『重要なのはマネジメントだ』とね。そこでズビグニューに電話しましてね、事なきを得た訳です・・・」
お年寄りと言うものは何故にこうも昔話が好きなのか?ピーター?WHO?ズビグヌー?呂律(ろれつ)が回らない。
「あああ、もう嫌やややや」
と倫子が北極30えもんの耳元で小声で言った。
「大変でございますね」
「あなた飽きない?」
「スリープモードに入っております」
「え!?寝てるの?」
「言わば半寝です。声を掛けらた瞬間に再起動します」
「羨(うらや)ましいなー。私もスリープモードに入りたいよ」
そう口にして顔を上げると講師の爺さんと目が合った。どうやら聞かれてたらしい。爺さんは
コホン
っと一つ咳(せき)をすると無視して話を進めた。たしか同じ六本木ピラーズに入居するリャーメンシスターズ投資顧問のお爺さん。昔は国の偉いお役人だったらしい。もう昔の栄光を振り回すような自慢話はやめてくれー、っと言いたいところだが、相変わらずこの人たちが日本の政治・経済・行政に対し強い発言力を持ってるのは間違い無い。下手にご機嫌を損ねるとどんなところから嫌がらせされるか分からない。こういう類の人たちは、自分の力でどれだけ法や道理を曲げられるかを誇示する、という非常に立ちの悪い性質をもっているのだ。
つまりこのセミナーも、本質的には彼の話の内容はどうでもいい話で、こういうつまらない老人なんだけど昔は偉かった人のくだらない話でも我慢して聞けるような忍耐力を鍛えましょう、というのが趣旨なのだ。
それにしても
「写経でもやった方がましだわ」
と倫子は思った。ふと、横を見ると北極30えもんから何やら小さな音がしている。
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
「ななな、何?壊れちゃったの?」
と言うと北極30えもんが
「いえ、倫子様がお疲れのようですので、わたしが全て記憶しておこうと思いまして」
「え!?そんなこと出来るの?」
「簡単でございます」
「えー、じゃ、お願いしちゃおうかな」
「承りました」
しかし、かと言って、ここから帰る訳にはいかない。会場後方の出入り口を見ると社長とハードジャンク・インベスターズの西尻社長が談笑している。どうせ良からぬ企(たくら)みの相談でもしてるに違いない。
「うーん」
帰る訳にもいかず、しかし北極30えもんが全て記憶してくれるので、特に聞く必用も無い。しかし、あと4時間ほどのこの退屈な時間をどう過ごせば良いのか?
「やっぱり写経の方がましだわ」
最前列にいるだけに寝る訳にもいかない。まして先ほど講師の爺さんから咳払(せきばら)いされたばかりだ。
「退屈なご様子ですね」
「死ぬわよ」
「では、お手を拝借(はいしゃく)」
「え?拍手でもするの?」
「いえ、お手のマッサージ機能がございます」
「へー。まあ暇だからお願いするか」
「承りました」
きゅっもみもみもみもみ
あれ?なんか気持ち良い
ゆびからませからませ
ああんんん、指を絡(から)ませられるとなんか感じてきちゃう
つぼを押します
ぐいっぐいっぐいっぐいっぐいっぐいっぐい
ああっあふんなにこれ、変な気持ちになってくる
手の上の方が頭のつぼで、下の方が足のつぼなんですよ、今は真中をおしてます
ってことはあそこのつぼを
そうです
あんあんあんあんあんあん声が出ちゃう
ガチャン!!
堪(こら)えが聞かなくなったところで、倫子は腰掛からひっくり返りそうになった。講師の爺さんは一瞬、言葉を止め倫子の方を見たが突然頬(ほほ)を赤らめると、再び一つ咳払(せきばら)いし、何事も無かったように話を再会した。
倫子は、まずい!、と思い身体を伏(ふ)せたまま会場を見回した。なにしろこんなお堅いセミナーの最前列で指を揉まれいってしまったものなどかつていないに違いない。しかし、おそるおそる振り向いて見たが既に誰も倫子を気にしている様子は無い。皆、他人のことにはさほど関心が無いということだろう。
「ねえ駄目。北極30えもん。もうもわんとなっちゃって。おさまり付かなくなっちゃったよ。なんとかして」
「そうですね。それでは取り外しましょうか?」
「取り外す?」
「ええ、本体は取り外し式になっております」
「本体とは?」
「これにございます」
そう言って北極30えもんが差し出したのは、男性のそれと同じ形をしたあれであった。
「ああ!!これはバイブ!!」
「はい、スイッチはですね。こことここです」
「Oh!Ye-----s」
そう小声で言うと倫子は北極30えもんの本体をバッグにしまい、トイレに行く振りをして席を立った。どうせ誰も関心など持つまい、ふふん、っと倫子が微笑んだ瞬間、鋭い眼光が目に入った。
「内田雛子!」
長い髪のあいだから恐ろしいほど強く輝く目が覗いていた。
「ひいいいいいいいいいいいいいいいいい」
(つづく)
★14「第ニ話 秘密のプレー」その3
にゅぷっ
ういいんういいんういいんういいん
あぷっ
ういいんういいんういいんういいんういいん
うっぷっ
ういいんういいんういいんういいんういいんういいん
おお!!
ういいんういいんういいんういいんういいんういいんういいん
うぎゅぎゅ!っんん
ふーーっすっきり
『北極30えもんの本体が取り外し式で良かったわー。はあ、すっきりしちゃった』
倫子はしばし便座に座り余韻を楽しむと、そそくさと北極30えもんの本体をハンドバッグに仕舞い込んだ。パンティとストッキングを上げ、スカートを降ろし、衣服を整える。タイトスートをたくし上げていたせいで、少し皺になってる。その皺がちょっと卑猥に見えて恥ずかしかったが仕方ない。倫子は、昨夜の食べ合わせが悪くお腹が絶不調で長時間便座に座り続けてしまった、と言い訳しようと思った。それにしてもオナニーじゃなくてうんちなのよと言い訳するというのも変な話だ。
取り敢えず衣服が整ったところで、個室から出て洗面台まで行き、鏡を見て顔を点検した。少し紅ら顔。というより上気している。そして目尻が下がって、口が半開き。額の髪の生え際にうっすらと汗までかいている。明らかにセックスをした後の顔だ。しかし
「あ!あの人セックスしてきたんだー!」
とか言われるならいいが
「あ?あの人セックスして・・・いえ、会議中だものそんな筈無いわ。たしかトイレへ行っただけ。じゃあ?ええ!?もしかしてオナニー!?いやだー恥ずかしい」
などと思われたら最悪だ。
深呼吸し、呼吸を整え、汗を拭(ぬぐ)い、ファンデーションと口紅を塗り直す。実はオナニーの時、唇を舐(な)める癖があるので口紅が全て無くなってしまっていた。
「いやーこりゃ生生しいわ」
一応、証拠隠滅は万全の状況になったところで、顔を上げ、もう一度お顔をチェック、しようと思ったら鏡に映った自分のすぐ背後にもう誰かが立っている。
『え?私独りの筈』
ぞおぉぉぉぉぉぉー。背筋が冷たくなるのを感じた。
『誰!?』
と叫んだ声は声にならなかった。
その背後の女は、海草のように長い髪は腰の辺りまで伸び、前に立つ倫子を覆い包むかのようだ。女の顔もその長い髪に隠されたまま。
そう言えば新人だった頃、聞かされた事がある。同僚の若い娘に男を三人連続寝取られ、このトイレで首を吊って死んだOLがいる、と。
間違い無くそのOLに違いない。重要なセミナー中にこともあろうかバイブを持ちこみ、たっぷり30分もオナニーをしていた倫子を見かね、化けて出て来たに違いない。
ひいいいいいいいいいい!!
「あーーーーーーあれ?雛子?」
内田雛子だった。
「何してんのよ!?こんなとこで。人のオナっじゃ無かった、ええーっと、御用足しを覗いてたんじゃないでしょうねー?」
「えええ?何言ってるんですか。たった今トイレに来ただけですよー。もう倫子さったら大袈裟なんだから」
「本当?」
怪しい。こいつは怪しい。だいたいそう言いながらも雛子の視線はハンドバッグを見ている、と倫子は思った。
『北極30えもんの秘密は決してあばけなくてよ!!』
(つづく)
★15「第ニ話 秘密のプレー」その4
雛子は何時からトイレにいたのだろう?だいたい、何をしにトイレに来たのだ?重要なセミナー中にトイレでオナニー、それもバイブを使ってしまった後ろめたさも手伝って、倫子の頭の中はぐるぐるとフル回転した。
もしや会場の後ろの席から、北極30えもんがズボンの中へ手を入れ
本体を外す
 ↓
倫子に渡す
 ↓
倫子がハンドバックにしまう
 ↓
倫子はそ知らぬ顔でトイレへ、
という一連の流れを覗いていたのだろうか?そうして最後の
 ↓
トイレでオナニー
、という決定的場面を覗き見していたのだろうか?いいや個室の形状からして上にでも登らない限り見えない。では?
聞き耳を立てていた!
バイブの齎(もたら)す快楽に陶酔し、思わず口唇から漏れ出た喘ぎ声に聞き耳を立てていたんじゃ!?
最悪。なんていやらしいの!
と倫子は思ったが、いやらしいのは倫子の喘ぎ声の方であり、想像しただけで恥ずかしくなった。
廊下を歩きながら気が重くなった。声を上げていたかどうかと言われれば、たかがオナニーであるし、誰もいないとはいえ公衆のトイレである。そんな大声を上げた訳は無いだろう。しかしいった瞬間は、いつものことだがそこだけ記憶が飛んでいる。以前、お付き合いしたA君から
「倫子さんって激しくって素敵」
と言われたので
「え?そんなに激しく動いてないと思うけど」
と返したら
「いく時凄いじゃないですか『あーああーーーーー!』って大声あげてターザンみたいでしたよ」
「ターザン!」
「ええ、野性的で素敵でした。僕も燃えちゃいましたよ」
「うう、」
ターザンのような声とはどんな声だったのだろう。以来いく時、自分がどのような声を上げるのだろう?と気にはしていたものの、いざその時になるとあまりの気持ち良さに我を忘れてしまう。
「う~ん。ま・さ・か」
倫子は頭を抱え廊下の窓から覗く都会の風景に見入った。夥しい数のビル群、まるで海だ。ビルの海、海の中にビルが林立していると言おうか、ビルの波に都市が覆われていると言おうか、いずれにせよこの中には途方も無い数の人間が棲息しているのだ。
「中にはオナニーの声を同僚に聞かれちゃった人だっている筈だわ」
と思うと気が楽になった。すると突然、
あああーーああああああーーーー
ターザンの声!振り向くと雛子!やはり雛子は自分のターザンのような声を聞いていたのか!?
「何!?何なの!?人を馬鹿にしてるの!?」
倫子が睨(にら)むと雛子は
「え?何怖い顔してるんですか?倫子さん」
「だってあなた今、私のターザンの声を」
「え?ターザン?」
「『あーああーー』って」
「ああ、あんまりお天気がいいから、つい大声出したくなっちゃって。セミナー退屈でしょ、だから。ごめんなさーい」
悪霊のように長い髪を腰まで垂らしてるくせして、話すとお軽い調子というのがなんともアンバランスな女だ。窓から差し込む陽光を眩(まぶ)しそうに見上げながら雛子は手で髪を梳(す)くった。ワカメのような髪の中から彼女の顔が現れる。それまでの暗い印象からは想像できないほど華やかで可愛らしい顔をしている。彼女に篭絡(ろうらく)されたと噂される男達が決まって
「雛子ちゃんって井川遥に似てるよね」
というのも納得できる。ボディも、腰まで掛かった髪に邪魔されてよく分からなかったが、なかなかのナイスバディ。
「倫子さんこそ何やってるんですか?早く戻らないと叱られますよ」
「え!ええ?そうね」
倫子はうろたえた。雛子は事実を知っててとぼけてるのだろうか?続け様に雛子は言った。
「ねえ、倫子さんの連れてきた男の人、バイトなんかじゃ無いでしょ」
そうして雛子はそのナイスボディで倫子を壁に押し付けた。倫子は雛子のボディと壁の間で身動き出来なくなってしまった。
「ちょっと!何するの?」
すると雛子は倫子の耳にべったりと唇を付け
「あの人は何か特別な人。それと不思議なんだけど倫子さんのそのバックから彼の匂いがするの。何故?」
鋭い!雛子は霊能力者だという噂を聞いたことがある。もしやその能力で北極30えもんの秘密をうすうす感づいているのだろうか?
「ねえ、一度お話させてくださいよー」
と雛子は倫子の顔を舐めるんじゃないかというほど顔を寄せて、そう囁いた。
「ね、倫子さんお願い。誰もいない廊下でこんな風にあんまり長く話してると私たちレズだと思われちゃいますよ」
たしかに、灰皿掃除のお爺さんが不自然なほどこちらを無視して黙々と吸殻をバケツに集めている。
「お願い。倫子さん。雛子、気になって眠れなくなっちゃうかも」
そう言って雛子は斜めに顔を寄せてくる。このままではディープキスまでされてしまいそうだ。
「こ・わ・ひ」
我知らず倫子は小刻みに頷(うなづ)いてしまった。
(つづく)

総集編6~10回

★「第一話 バイブえもん登場!」その6
すっかり潜ってしまった。それも深海へ。ダイバーリーゼント社は底知れぬ会社だ。アパートに着く頃には倫子は心身ともに疲れ果てていた。
ダイバー社に向かう途中、そういえば女子社員はいないんだったか?と思った。細野課長に聞いてみると
「いますよお。やあね倫子さんったら。レズにでもおなり?」
おなりじゃねーよ!おならでも引っかけてやっか?と倫子は内心憤慨したが、
『女いたんだー???』
という方に思考が優先された。
行ってみると、た・し・か・に・いた。うさぎのきぐるみ、猫のきぐるみ、カンガルーやレッサーパンダなんかまでいる。カモノハシさんがお茶を運んできた。
「お茶でーす」
「はあ?ありがとうございます」
そこへ401Kを担当する昆布巻CFOが入ってきた。
「やあ、皆さんいらっしゃい」
すかさず細野課長が
「昆布巻CFO、すばらしい。『萌え』ですな」
とおべんちゃらを言った。
「OH Yeーs。よくお分かりですね。萌え、の市場は当社が独占しまーす。その為、社員全員が高次元な『萌え』を理解しなくてはいけませーん。その為の社員教育でもあるのでーす」
「さすがアメリカ帰りのMBA!」
「No!No!グローバリゼーションの現代にアメリカ帰りもMBAも関係ありまっせーん」
そんなやり取りの横で倫子は、
「社員教育ー?」
と口に出してしまった。
「Yeーs。女性社員は『萌え』を提供する側、男性社員はそれを享受する側の研修でーす」
ばか?馬鹿?BAKAなのこの連中?単なるコスプレじゃん!それもこの女どもは何?保母さんか?
「ねえ、北極30号。聞いてる?大変だったのよ」
「ええ分かりますよ倫子さん。お仕事というのは何時の時代も大変なものです」
「でもさあ、現代のお仕事って無意味に大変だよね。まだセクハラがどうのって言ってたバブルの頃の方が健全だったんじゃない?」
「さあてどうでしょう?時代時代にパラダイムというものがございますから、違う時代から来た私がとやかく言うことでは無いでしょう」
「パラダイスって言っても、あれはダイバー社の馬鹿社員どもにとっての楽園ってだけよ。現実逃避、生の女を満足させたことなんか無い連中だわ!」
「あの、申し上げにくいのですが、私が申し上げましたのはパラダイム、つまり『規範』のことです。まあ価値観といいますか、美意識とか正義感なんかも含まれましょうか」
「げげ!勿論、分かってたわよ。何しろ私ってば有名金融コンサルタント会社の金融プランナーなんだから。ちょっとした駄洒落(だじゃれ)よ!」
「申し訳ありませんでした」
「そんなことよりー。早くちて。ね」
「はいはい分かってます。でも夕食はよろしいのですか?」
「取り敢えずー。1ラウンド済ませてから。ね」
「えっと、それではどんなモードで」
「だから、ね・っ・ち・り・で」
「はい。それは予約済みなんですが、他にもいろいろ細かいモード設定がございます。まあ、まだ慣れてませんから全てノーマルでよろしいでしょう」
「ちょっと待った。それは【深・突】とかのことでしょ?」
「いいえ、そいうのはなされいる最中にご操作頂くものです」
「え?じゃ、他にあるの?」
「まあ、いろいろ」
「例えば?」
「射精機能も付いてます」
「ええ!?ほんと!?」
「はい。スイッチはここ。左肩の裏」
「ほんとだ。なになに?【熱・冷】?何これ?」
「ああ、射精する精液が熱い方がいいか冷たい方いいかってことです」
「それとーー、うん?【多・少】?フンーーー!!」
「精液の量が多いか少ないかです。お好みで」
「じゃあ、【多】でお願いちまちゅ。ポ!いやん恥ずかちい!」
「いいえ当社のお客様統計でも【熱】【多】の組み合わせを選択なされるお客様が全体の七割に上るという結果が出ています」
「そうだよね。私に言わせれば【冷】【少】なんてボタンいらないよ」
「まあ、色んな趣味趣向の方がいらっしゃいますし、顔射を好まれる方もいらっしゃいますから」
「なるほど!でもそれなら【少】は分かるけど【冷】はどうなのかな?」
「まあ【冷】と言っても人肌並ですから」
「へえ?じゃ、【熱】は?」
「40℃に設定してございます。丁度、温泉の温度でございます」
「はあー。温泉の暖かさがあそこの中にジワーっと広がって、まあ、桃源郷の心地良さ。うっとり」
「他にもですね」
「もういいわ。お話は結構。実践あるのみよ。さあ。さあさあさあ」
「じゃ、いきます」
「お願いちまちゅ」
「ちなみに、舌にも動作モードがございます」
「舌ってベロちゃんのこと」
「ええ、取り敢えず一番人気のある【遅・ローリング】でいきます」
ぺろんぺろんぺろんぺろんぺろんぺろん
あふん、あふふん、あふふふん、あふふふふん、あふふふふふん、あふふふふふふん
ぺろんぺろんぺろんぺろんぺろんぺろん
うん、ううん、うううん、ううううん、うううううん、ううううううん
ぺろんぺろんぺろんぺろんぺろんぺろん
お、おお、おおお、おおおお、おおおおお、おおおおおお
「ねえん、もう欲ちいよ」
「駄目ですよ。もう少し辛抱なさい。辛抱が多いほど実りも大きいのですよ」
「えー?ー?ー?」
ぺろんぺろんぺろんぺろんぺろんぺろん
「もう、堪忍して!限界!」
「仕方の無いお客様ですねえ。じゃ、先っぽだけ。亀の頭だけ入れて上げましょう」
ヌポッ。しーん。
「うごいてー」
「先っちょだけですよ」
すこすこすこすこすこすこすこ
あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ
「もうううう、奥までーーーー」
「お客様、もう少し辛抱なさらないと困ります」
「だめ、だめ、だめ、だめ、もう駄目なのー。ね、お願い」
ずぷーーーーー
あっップ、
ずずずずーっこん、ずずずずーっこん、ずずずずーっこん
あふっあふっあふっあふっあふっ
「ぱんぱん!」
ぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱん
たっぷり!
「はー、気持ちえかったー。ひさびさ、こんなに深く満足しちゃったの。でも、ねえあなた。ロボットのくせして焦らすなんてやるじゃない」
「まあ、そのようにプログラムされておりますから」
「プログラム?はあ、優秀な会社なのねえ」
「いいえ、このプログラムはあなたのご子孫様がなさったものです」
「げ!」
「お客様のことを良くお分かりなんですよ」
「ちょっと恥ずかしいわ。でも、なんで分かんの?」
「ご子孫様はいつもお客様のことを見ておいでです」
「いつもー?ちょっと!どういうこと?」
(つづく)
★「第一話 バイブえもん登場!」その7
「どういうことと言われましても大したことではございませんよ。未来から見ておるんであります」
「どうやって?」
「パソコンで」
「パソコン?」
「そういうソフトが売ってるんですよ」
「何それ?随分簡単に言うけどプライバシーの侵害じゃない」
「まあ、そう言えない事もありませんけど、一応、自分のご先祖様しか見てはいけないことになっています」
「えー!?じゃあ、私がオナニーしてるとこもいつも見てたってこと?」
「はい」
「はい、じゃないわよ。勘弁してよ。じゃ、今も見てるの?」
「そうですね」
と言うと北極30えもんは時計をちらりと見て
「見てませんね」
「え?何で?」
「もう、お休みになられています」
「お休み?」
「つまり寝ておられます」
「寝てる?まだ9時よ」
「未来人は早寝早起きなんです」
「へえ、じゃ起きてる時だけ見てる訳?」
「まあ、暇な時ですね」
「もう、いいや。やい子孫!ご先祖の痴態見てオナニーでもして寝てろ!」
まったくくだらない会話をしてしまった、と倫子は思った。くだらないと言えば昼間のダイバーリーゼント社でのくだらなさといったら。倫子は思わず目を瞑(つむ)って頭を横に振った。
「それでは昆布巻CFO様、そういう段取りでよろしくお願いします」
細野課長がそう話を締めた。倫子はこの馬鹿な空間からようやく帰れる、と胸を撫で下ろした。このオープンスペースにある応接にさっきから意味も無くダイバー社の社員が入れ替わり立ち代り行き来するのだ。みんなおかしな薄ら笑いを浮かべては通り過ぎていく。それも最初一人二人だったが、今は列を作って順番待ちの状態だ。
『何なの!?この人たち!』
今日のスーツはスカートの丈が短過ぎたか?
『変態どもめ!口説くことも出来ないくせに、人の脚見るな!!』
女は、上手に口説かれれば脚だろうが胸だろうが率先して見せたくなるが、覗かれるってのは不愉快なものだ。倫子が不快そうな顔をしてもお構いなし。倫子の前で、まるでコンビニで立ち読みする学生のように座り込む者まで出てきた。
そんなこんだでうんざりしているうち、契約話は順調に進んだのだ。さあこれで帰れる、と倫子が課長とともに立ち上がろうとすると、
「STOP!ちょっと待って。僕だけじゃ決められないんだった」
「と、申しますと?」
「CIOにも会って貰わないと。細かい説明はいいよ。挨拶だけしといて」
そう言って昆布巻はつかつか去って行った。
「CIOというのは初めてです。倫子さんあったことある?」
「いいえ」
倫子はそんなことより、このかぶりつきで自分の周りを囲む変態社員をなんとかして貰いたかった。課長は我関せずで、一向に気にしていない。さっきカモノハシのコスプレをした女が運んできた紅茶を啜(すす)って
「はあー」
とか一息付いてる。早く来ないか、倫子は一刻も早くCIOが来ないかと心待ちにした。
すると、
「Yes! Yes! Yes! Yes!」
「Oh!Baby Oh!Baby Oh!Baby Oh!Baby」
「Year! Year! Year! Year!」
「Hey you! Hey you! Hey you! Hey you! Hey you! Year!」
と訳の分からない英語の叫び声が聞こえてきた。歌なのかもしれない?さっきの昆布巻の野郎が更にハイテンションになって戻って来たか?
と思うとアフロヘアに白いラメのつなぎ、ゴーグル型のサングラスをした男が上半身を左右に揺すりながら歩いてきた。顔は顔黒だ。遠くから見るとオットセイがアフロヘアーの鬘(かつら)でも被(かぶ)って左右に頭を揺らしているように見える。そしてそのサングラスのふちにはネオンが埋め込まれ、パチンコ屋の看板のようにくるくるレンズの周りを回転していた。この糞熱いのにマフラーまでしてる。それも虹色のマフラー。
「Heーy、Hey、Hey、Heーy、Hey。Oh Fanky、Fanky、Fanky、Fanky」
腰を前後に激しく揺らしながら、握手を求めてきた。すかさず細野課長が
「お世話になります」
と卒ない握手。すると今度は倫子の方にその手を伸ばしてきた。倫子が握手しようとすると、突然大声で
「Oh!! Fack Fack Fack Fackyou I'm マンキー」
と叫びだした。どうやら興奮しているらしい。ウホッウホッと三、四回その場でジャンプした。倫子に飛び掛かってくるのか?というほどの興奮の仕方だ。突然、ジャンプが止まったかと思うと、手を握られ握手、上下にブンッブンッ握った腕を振られた。
「Yes! Nice Pussy Your Prity Pussy Cat Yes! Yes! Yes! Ho! I'm マンキー」
monkeyの発音が妙に気になった倫子だった。
男は素早く白いラメのつなぎの胸ポケットから名刺を出すと課長と倫子に渡した。そして
「thanks! you you you what your! mnnnnnn」
と言うと再び
「Yes! Yes! I No Anita!! Anita! Anita! Anita!」
とか歌いながら去って行った。名刺を見ると<CIO小林正夫>と書いてあった。
『死ぬまでやってろ!』
と倫子は心の中で叫んだ。
そうしてようやくダイバーリーゼント社から解放された。
(つづく)
★「第一話 バイブえもん登場!」その8
「ねえ、北極30えもん」
北極30えもんは倫子が食べた食器を洗いながら、答えた。
「なんでしょう?」
「あなたお料理すごく上手い上に片付けまでしてくれるのね」
「ええ、食器洗い機機能が付いてますので」
「え?何それ?手の先っぽから束子(たわし)が出て回転するとか?」
「いいえ、24世紀では手洗いが一番流行なんですよ」
「なるほど!え?でも手洗いじゃ、人間がやってもおんなじじゃない」
「そうですよ。優れたロボットは人間と同じ事をするんです」
「なるほどねー。じゃ、お掃除も」
「ええ、掃除機機能も付いてます」
「掃除機機能たってあんた。あんたがそこにある掃除機使って掃除したんでしょうに」
「まあそうです」
「いえいえ、ありがたい限りですよ。だらしない私としては」
「そう言って頂けると嬉しいです」
ちょうど北極30えもんは食器洗い~食器拭きが終わり、台所から戻ってきた。倫子は待ち構えたように北極30えもんの肩にしな垂れかかり、次いで膝の上にだっこまでしてしまった。
「ねえ~ん、そんなことよりなんか新しい機能ないのー?まだ内緒の奴あるんでしょ?」
「内緒なんて。そんなものはございません」
「ないのー。つまんないのーー」
「まあ、特に新しくもなく内緒という訳でも無いのですが」
そう言って北極30えもんはシャツをたくし上げ、臍(へそ)を出した。
「お臍(へそ)?」
「その縁のところをご覧下さい」
「ほほー。あ!何か書いてある!どれどれ、なになに?【短・中・長・超長】?」
倫子は北極30えもんの顔を見てにんまり笑った。
「分かった分かった。ひひひ。これってあれの長さでしょ。ねえ今何?【中】?」
「いいえ【長】でございます。ご子孫様がセットなされました」
「なりゅほど!道理で具合良くいいとこに当たりますわ。ほほほほ。でも【超長】ってどれくらいなの?」
「これはー、外人様でしょうか」
「なるへそ!外人のあそこなら【超長】でも完食できるわね」
「あと、弄(いじ)るのがお好きなお客様向けとなります」
「ほっほー。たしかに弄繰(いじく)り回すには長ければ長いほど楽しいかも」
「そうのようです」
「でも【短】とかって選ぶ人いるの?【中】はあそこが浅い人もいるから必要なんだろうけど」
「入り口に性感帯があるお客様がいらっしゃいます」
「あ!分かる分かる。でもそういう女って本当にいったことないわよ。入り口じゃあオナニーと変わんないもん。ぴりぴりって感じって言うの?やっぱ本格的に行くには奥でドーン、ドッカーンって感じになんないとね。うんうん」
「さすが倫子さんは色んなことをご存知ですね」
「そんな褒(ほ)められるようなことじゃ。何よろこんでんのよ私ったら。ところで太さはないの?」
「ございます、左側です」
「これね。うん?これはなあに?【大・高・先細】?」
「ああ、それは亀頭のタイプにございます」
「キトー?」
「ええ。【大】は全体に大きいのでございます。例えるなら大き目のゆで卵。【高】はカリ高。【先細】は先端が細く尖(とが)ってるということです」
「へえええええ。これって興味深々。ねえ。【大】って押してみて良い?」
「どうぞ」
「わわわわ!何これ?すっげー」
「お好みで色も」
「色?」
「はい。ここに」
「おお!あれ?ピンクなんてあるよ?」
「初物好きの熟女のお客様に人気です」
「初物。つまり童貞君ね」
「そうです」
「私はそこまで熟してる訳じゃないけど、ちょっとピンクにしてみていい?」
「どうぞ」
「ひえー。こんなどでかい亀頭がピンク色!なんかいやらしい」
「興奮されましたか?」
「ちょっと入れてみていい?」
倫子はパンティを脱いで、北極30えもんの上に跨(またが)った。
「なんかピンクの亀頭君が私の中に入っていくと思うと恥ずかしいわ」
「なんの抵抗も無く呑み込まれています」
「ああ、どんどん入っていっちゃう」
「そうでございますね」
「ああ、あふん!奥まで入っちゃった。出し入れしていい?」
「どうぞ」
ずずずずーーーっぷん
「あふん!亀頭が大きくて刺激が大き過ぎる。動いたらいっちゃう。でも動かないとおかしくなっちゃう。北極30えもん!なんとかして!」
「ローリング機能を使いましょう!」
「なにそれ?」
「21世紀のバイブにもあるでしょう。中で回転する奴ですよ」
「ああ、あれね。じゃ、早くお願い」
「はい」
ういん、ういいん、ういいいん、ういいいいん、ういいいいいん、ういいいいいいん
あっぱ、いっぷ、うっぷ、えっぷ、おっぷ
ぶわーん!!ばーん!!ばばばばーんんんんn!!!
「ふーふーふーふー。死ぬかと思った。あんまり気持ちよくて。ねえ、死んだ人いるでしょ。気持ち良すぎて。これはまずいわー。癖になるー」
「ご満足頂きありがとうございます。そろそろ終了の時間でございます」
「え?何それ終了って」
「営業時間は午後十一時までとなっております」
「え!?何それ?聞いてないよう。せっかく明日は土曜日で休みだからもう一回くらいやって、それから夜中に起きてむにゃむにゃしながらやって、朝寝起きにまだ目覚めてない身体のまま朝立ちしたのを入れようと思ったのにーー」
「未来人は早寝早起きにございます。あ、それとモーニングコールセックスはOKでございます。朝の営業時間は六時からでございますので、それ以降でございましたら朝立ちコール設定もございます」
「朝立ちコール?なんて魅力的な響き」
「好評にございます」
「じゃ、六時半に予約お願いしまーす!」
「承(うけたまわ)りました」
(つづく)
★「第一話 バイブえもん登場!」その9
「うう~ん」
ぺりょんくにょんぬっちゅっぺりょんくにょんぬっちゅっぺりょんくにょんぬっちゅっぺりょんくにょんぬっちゅっ
「あああああああ、、ああ」
ぺりょんくにょんぬっちゅっぺりょんくにょんぬっちゅっぺりょんくにょんぬっちゅっ
「んんんんん、むふっおおおん」
ぺりょんくにょんぬっちゅっぺりょんくにょんぬっちゅっぺりょん
「うおおお、うおーん、ほーーんん」
ぺりょんくにょんぬっちゅっぺりょんくにょんぬっちゅっ
「あっ!」
ぺにょん
「ふーっ」
爽やかな朝だった。
「モーニングセックスコールサービスって最高!誰が考えたの?」
「社のカスタマーリレーションシップセンターでございます」
「これほど顧客の要望に充実した回答を出せるなんて、あなたの会社って凄いわ!」
「光栄でございます」
「でもお料理、お掃除、お片付けまでセットになってるなんて至れり尽せりね。誰が考えたのかしら?バイブにお掃除までさせる機能を付けようなんて!」
「長い時間を掛けて進化してまいりましたから」
「はあー、未来人の英知の結晶よねあなた」
「それほどではございません」
「でもあれかー、24世紀っていえばもう何でも自動って感じでしょ?」
「自動?と申しますと?」
「貴方みたいなロボットがなんでもやってて人間は遊んでるだけ、って感じ?」
「とんでもございません。そうですね。そういう意味ではこの時代より自動化は後退しております」
「後退?」
「ええ、まず道路は歩くのが普通です。自動車はあまり走ってません」
「歩く?分かった!空港みたいに道路が動くんでしょう」
「いいえ。舗装された道路がほとんどありません。みんな土です」
「へ?なんで?まさか石油が枯渇して、エネルギー危機が!?」
「まあ、そういう心配もありましたが、一番は健康の為です」
「健康?」
「はい。歩くのが一番、健康に良いのです。特に精神面のですね。いらいらやストレスが収まります」
「へえ、なるほどね。今、問題の切れっるって奴も無くなるかな?」
「勿論でございます。そもそも人間も動物の一種族ですから、身体を動かすのが普通ですから」
「ははあ。なるほどね」
「あとエレベーターとエスカレーターもございません」
「え?じゃ、高いビルも健康の為に歩いて上るの?」
「勿論です」
「ひえー。死ぬよね」
「大腰筋が鍛えられるので、お腹が出ません」
「うんーー。なんとも言えないなー」
「自動ドアもありません」
「え?」
「腕を鍛えるためです」
「なんか24世紀ってスポーツジムみたいだね?」
「そうですね。鍛え上げた身体の人は尊敬されます」
「ふんー。じゃ、今より科学は遅れてるってこと?」
「まあ、不要なところには使わないということです」
「と言うとどいうところに使ってんの?」
「そうですね」
と北極30えもんは少し考え込み、
「私のような慰安用でしょうか?」
「じゃ、これから300年間の人間の科学は、バイブの進化のためにあったっていうこと?」
「そうとも言えます」
「う~ん。複雑ね」
「まあ、未来人は機械化が嫌い、ということもあります」
「機械化が嫌い?」
「自然派志向なのですよ」
倫子は納得できるようなできないような、まあ、それほど深く考える必用が無いような気がしたので、取り敢えず話を打ち切り、北極30えもんの膝の上に乗った。
「ねえーん。今日お休みなんだー。まだ、八時だよ。もう一眠りちたい」
「お休みですか。どうぞごゆっくり」
「あーん。一つ教えて欲しいんだけど、例えば今から一時間後にまたモーニングセックちゅコールって出来ますー?」
「それは出来ません。朝だけのサービスでございます」
「やっぱり。がっくりだわー」
「しかし、代わりに『お昼ねコール』というものがございます」
「ふふーんん!!それはもしや」
「お昼寝中のお客様をお約束の時間にセックスで起こして差し上げるサービスでございます」
「そのサービス乗った!あ!?でも『お昼ね』って言うからにはお昼じゃないと駄目なんじゃ?」
「このサービスは時間の不規則な方用に考案されたサービスでございますから、朝八時半より夕方四時半までご利用頂けます」
「ありがとう北極30えもん!それじゃ、えっと9時にお願い」
「お承(うけたまわ)りました」
倫子は期待にどきどきしたが、より良いセックスの為に、より深く眠るよう努力した。
『こういう時、日頃寝不足で良かったわー。簡単に眠れるもの。ああ、でもより深く眠るために全身の力を抜いて、腹式呼吸、ゆっくりと鼻から吸ってー、はい口からゆっくりと吐いてーーー、最後に肛門をキュッと締めて息を全部吐き出すー』
などと考えている間に睡魔に襲われ、結局2回ばかり腹式呼吸しただけで寝入ってしまった。
(つづく)
★「第一話 バイブえもん登場!」その10
とんとんとんとんとんとんとんとんとんとんとんとん
「いやんんんん、北極30えもんったらー。いきなりとんとん奥を付くなんてー」
とんとんとんとんとんとんとんとんとんとん
「あん、あふん、そこ、そこが私のスポットなのー」
とんとんとんとん
「って、突いて無いじゃん!?」
倫子がベッドから跳ね起きると、北極30えもんの姿は無かった。どうやら台所にいるらしい。
「ねえ、ちょっと。何やってんの?とんとんって」
「あ、お目覚めですか?」
「お目覚めですかじゃないわよ!『お昼ねコール』はどうなったの?」
「あんまりよくお休みだったもので、起こすのが憚(はば)られまして」
「寝込みを襲ってもらうために寝てたんでしょうが!っん、もう!」
「申し訳ありません」
「ところで何やってたのよん?」
「遅い朝食を、というかもうじきお昼なので、朝食兼昼食を作ろうかと」
「へえ。気が利くねえ未来のバイブは」
「光栄でございます」
倫子は機嫌が悪かった。悪い理由は簡単だった。セックスが出来なかったからだ、けではない。
今日明日の土日、本来なら休日であるが明日の日曜日は一日研修セミナーに出席しなければならない。最近は世の中の仕組みがいろいろ変わるので、もう年がら年中セミナー漬け。明日のセミナーに出席する際に前回セミナーの内容をまとめたレポートを提出しろと言われている。
「ああ、もう面倒くさーい。せっかくまるまる二日間北極30えもんをたっぷり楽しんでやろうと思ってたのに」
「そんなにセックスばっかりしてたら馬鹿になられてしまいますよ」
「いいのよ!少し馬鹿になるくらいでちょうどいいの!普段頭ばっか使って生きてんだから!」
そう言って北極30えもんを叱ってから
「だからーん。カラダも使わないとバランスが取れないのよん」
と言って台所で料理する北極30えもんにしな垂れかかった。
「まあ落ち着いて。お食事をしてからにしましょう」
「いや!」
「冷めちゃいますよ」
「いいよーだ。普段一人暮らしで冷め切ったコンビニ弁当食べるの慣れてますから」
「エリートOLの倫子さんがコンビニ弁当?」
「そんなもんよ。会社がエリートってだけ。ペイ・フォー・パフォーマンス成果主義給与制度って聞こえはいいけど要は安い給料で死ぬまで働かせる口実だもの」
「そうなんですか」
「そうなのよ。だからダッコ」
「仕方ないですねえ」
北極30えもんがそう言ってくれたので、倫子はぴょんと飛び乗るようにして北極30えもんに抱っこした。
「ベッドまで連れてってーん」
「承りました」
ねっとりこん、ぺろりんぺろりんぺろりんぺろりん
もみもみもみもみもみもみ
くにゅんくにゅんくにゅんくにゅん
つつつーっ
「ぷはっ、はは早くー30えもーん」
先っちょ
こすこすこすこす
「ああああ、もう堪忍、、、」
ずっぷんずっぷんずっぷんずっぷん
「ううううう、、ぱんぱん」
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱ
すっきり、ぐーーーー。
「うふ、また寝ちゃった。二度寝どころか三度寝だわ」
「もうお昼でございます」
「ひゅー。午前中ほとんど寝てた」
「そうでございます」
「でも有意義な午前中。やって寝てやって寝て。これ一日中、ううん二日間ずっとこれがいい」
「御意(ぎょい)に」
「やったー!」
(つづく)

総集編1~5回

★「第一話 北極30えもん登場!」その1
『今日から三回以内に抑えないと』
と倫子は思った。
『このままでは動物になってしまう』
と。

昨夜、おかしな夢を見た。朝、目覚めたら自分が芋虫になっていたのだ。カフカの変身じゃあるまいし、と夢の中で白けていたら、その芋虫が突然、
ウイーンッウイーンッウイーンッウイーンッウイーンッウイーンッウイーンッウイーンッ
うねるように動き始めた。
『なんか気持ちよさそう』
と思ってみていると、
ビクッビクッ
と痙攣し、先っちょから
どびゅーーーーーー
っと白い液体を噴出した。
『ああっ!!射精した』
と何故か夢の中で思った。
『オナニーのし過ぎでバチが当たった!?それでこんな変な虫にされちゃったの!?』
と背筋が寒くなったところで倫子は目が覚めた。既に陽は上がり、カーテンを開け放った窓いっぱいに朝日が差し込んでいた。
ウイーンッウイーンッウイーン
目を覚ましたというのに夢の続きのように音が鳴り響いていた。なんだろう?と思って倫子は辺りを見回したが、そんな音を発しそうなものは見当たらない。携帯をバイブレーション・モードにしたままだったかと思ったが、枕元に転がる携帯はピクリとも動いていない。しかし、現に機械音は聞こえる。倫子は耳を頼りに音の出所を探した。それはどうやら倫子が今居るベッドの上、それも倫子の尻の下辺りから聞こえる。倫子は尻を浮かせた。しかし、尻のあった場所には何も無い。
『うん?』
と倫子は首を傾げた。音はどうやら上に移動したようだ。その場所は、また尻。尻について音が移動している。それにしてもあのような大きな機械音はそこそこの機械器具出なければ発する筈も無い。
不信に思った倫子は恐る恐る自分の尻を触った。
ぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷ
「きゃっ!」
何かが自分の尻で震えていた。それは硬く、そして太い。震えながら大きな動きもしている。
「こ・れ・は」
倫子はごくりと唾を飲み、こめかみに一筋の汗を流した。どうやら悪い予感は当たったらしい。いや大当たりとさえいえる。音の正体は、やはり倫子愛用のバイブだった。
昨夜、飲んで帰った勢いでバイブでねちねち弄っているうちに気持ち良くなったところまでは憶えているがそこから先の記憶が無い。というより、深くいったところで意識が闇に囚われたのを憶えている。
つまり、入れたまま寝てしまったのだ。こういう失敗をすると自己嫌悪に陥るものだ。倫子もすっかりしょげ返ってしまったが、朝から落ち込んでいる訳にもいかないので、気を取り直してシャワーでも浴びることにした。
ベッドから立ち上がり股間に手をやると異物感があった。倫子はベッドに片手を付いて宙に尻を突き出す姿勢をとり、尻からバイブを引き抜いた。
ヌッポッ
と湿った音がした。ちょうどその姿が姿見に映った。モデルばりに脚が長く、グラビアアイドル並に尻がツンと上を向いている。そんな倫子のベッドに手を付き尻を突き出すという動物的な姿勢は、女の倫子自身から見てもとても官能的だった。
そんな自分のお尻に見とれていると、姿身の中に時計が映っているのに気が付いた。
『五時半?』
振り返って時計を見ると七時半だ。
「やっべーっ」
慌ててシャワーを浴び、アパートを飛び出したのだった。

そんな日の夜、久しぶりに早く帰宅した。カンチューハイ片手に窓を開け、星空を見ながら倫子は大いに反省していた。
『まあ女の場合、身体に良いこととはいえ、いくらなんでもやり過ぎだわ』
思えばほぼ毎日、寝入りばなと起き際にしてる。生活習慣になってしまい、いってからでないと寝れない。朝は朝で、寝起きは何故かあそこが火照っている。男性には朝立ちがあるというが、女にもあるのだろうか、と思うほどそこが充血しているのだ。で、つい指が伸びてしまう。あと土日に細かい資料整理の仕事を持ち帰った時など、パソコンに向かっただけで何やらもやもやし、一仕事する前にひといき。それで小一時間仕事してまたもやもや、またいってまた仕事、などということを繰り返してしまう。
そんなこんなで平日一回、土日五回はしてる。つまり週に二十回!冷静に考えると、いや、どう考えても多すぎる気がする。
『生身の男性を受け入れるところだもの。まずいわ』
と反省もした。思えばここ数ヶ月、いやもう一年近く男日照りだった。日照りというと語弊がある。男が出来なかった訳ではない。仕事が忙しくて男を作れなかっただけだ。
だいたい男って生き物は付き合うと面倒臭いもので、格好ばっかり付けてる。そのくせ入れたかと思うと三擦り半でドバーッか、ふにゃふにゃで
「あれ?おかしいな」
と言ってお仕舞いだ。だから半年くらいで違う男とチェンジしてしまう。
他の女たちは一人の男とよく長く付き合っていられる、と感心するが
「倫子はあんまり美人だから男性が緊張しちゃうのよ」
とは褒め言葉なのか。
『そんなにさ、格好いい人でなくてもいいのよ。優しい人なら。でも糞真面目なのは嫌だな。面白い人でなきゃ。それとやっぱりあれは大きくって元気な方がいい。やっぱり硬いといき具合が違うもんね。それと奥にあたるだけの長さは欲しい。神様、硬くて長い人でお願いしまぁす。ってお願いすれば降ってくるんかいー!?』
そんな日が誰にも訪れることは多分、いや絶対無い。しかし、どうした運命の悪戯か彼女の前にその日は来たらしい。
「よっこらしょっと」
ここは二階というのに、知らぬ間に若い男が窓枠に手を掛け、這い上がってきた。
「ちょっとちょっと何々!?泥棒?でもなんかあなた凄い私の好みなんだけど」
「ご注文承(うけたまわ)りました者です」
「なぬ?出張ホストを頼んだ憶えは無いんだけど」
「ええ?憶えが無い?お客様、困ります。そんないい加減なこと言われては」
「だって頼んでないもの」
倫子がそう言うと、彼は困ったような顔をしたまま首から下げたペンダントを開き何やらぶつぶつ言っていた。その間ずっと片手で窓枠からぶら下がったまま。きっと学生時代体操部にでも居たんだろう。あるいは今流行りのフリークライマーか?しばらくして彼は
「なんだそうか!そうだったのか!!」
と独り言を言うとまた
「よっこらしょ」
と言って、勝手に倫子の部屋に入り込んで、窓際に正座して座ってしまった。知らない男が断りも無く部屋に入ってきたものの少なくとも見かけは倫子の大好物、タレントの福山雅治にそっくり。或る意味、飛んで火に居る夏の虫で、このまま只で帰さない為にはどうすれば良いか、などと脳をフル回転させてしまった。
「取り敢えず半年ほど居ます」
と彼。
「え?ええ?」
倫子は内心、嬉しいような、しかしここは一応、大人の女であるか良識を見せなくてはなるまい、と思い
「ちょっとあんた何者?勝手に人の部屋に入ってきて、尚且つ『半年居ます』だあ~!?(ちょっと格好良いからって)失礼してんじゃない?」
倫子がそう詰め寄ると彼は頭を掻きながら、真顔で言った。
「ご理解できないのは当然だと思います。私、未来から来たんです」
「未来?未来ってどこのお店?新宿?池袋?それとも浅草だったかしら?」
「ああ、たしかにこの時代で言えば出張ホストクラブみたいなもんですが、24世紀の未来のお店なんですよ」
「24世紀っていう名前なの、あなたのお店?」
「いいえ、よく聞いて下さいね。24世紀のあなたの子孫が今の貴方の境遇を不憫(ふびん)に思って私を送ってよこしたのです」
「24世紀の私の子孫が?あなたを送った」
「そのとおり」
「じゃ、あなたター○ネーター?」
「いいえ違います」
「じゃあ何?」
「私は北極30えもんと申します。女性のお独り寝のお供をするロボット型バイブです」
(つづく)

★「第一話 バイブえもん登場!」その2
あんあんあんあんあんあんあんあん
きゃんきゃんきゃんきゃんきゃんきゃん
えーんえーん
ううう、、、
あ、おおおおおおおおおおおおお
ふーーーーー
おやすみ、ぐー、ぐー、
ジリリリリリリリ
『ん?朝?明るい、朝だ。なんか昨日はすごっく激しいセックスした夢見ちゃったなー。島流しにあって以来、自粛してたからやっぱ欲求不満
なのね。そういえばすごく私好みのイイ男出てきたよね。たしか「バイブくん?」。完全に欲求不満だー。私を憐(あわ)れんだバイブの精が男性の
姿を借りて私の前に現れたのかしら。それであんなに私の中を激しく突いて。ってやばいなー』
「おはようございます」
「ひ!?あんた誰?」
「え?昨日もご説明した筈ですが」
「ああ!?バイブくん?本当に居たの夢じゃなかったのね」
「あの、北極30えもんです」
「そうね、バイブの精だったかしら」
「いえ、未来からあなたの子孫に送り込まれて来た」
「ああ、ター○ミネーター」
昨日と同じ展開だった。倫子は格好いい男も好きだったが性的な趣向として筋肉隆々のボディビルダーのようなカラダも好きだった。
「はあ、本当に居たんだねー。でも、本当はあなたどっかの出張ホストでしょ。誰かが私に一晩プレゼントしてくれたのかしら。誰だろう?お母さ
んってことないし」
「あなたのお母さん、そんなこと聞いたら越し抜かしますよ。真面目ないい人なんですから」
「え?私のお母さん知ってるの?」
「直接は知りませんが、昨夜あなたのお相手をさせて頂いた際に、貴方の記憶の一部を覗かせて頂いたのです」
「えー!?じゃやっぱ貴方としちゃったのねー。夢じゃ無かったんだ。道理で気持ちよかった筈だわ。お陰で久しぶりに良く眠れたわ」
「どういたしまして」
「でも、人の記憶を覗くなんてどういうこと!酷(ひど)いじゃないの。プライバシーの侵害だわ」
「ええ、ただお客様の趣味趣向をよく理解しませんと。その為の必要最小限の情報だけ見せて頂きました」
「まー、嫌ねえ。お店に苦情言っとくから。後で何見たか教えて頂戴ね。取り敢えず朝は急がしいのよ。こんな辺鄙(へんぴ)なアパートに暮らし
てるから六本木ピルズの会社まで結構かかるの」
「そう思って、朝食を用意しておきました」
「まあ、気が利くじゃない。でも、そんな時間は無いの!」
「まだ五時半ですよ」
「ええ!?何で?やっぱり満足して寝ると熟睡できるのかしら?」
「ええ、良くお休みでした」
「まあ恥ずかしい」
倫子は昨夜の自分の痴態を思い出し、小さくほくそえんだ。
(つづく)
★「第一話 バイブえもん登場!」その3
「はあ、久しぶりに健康な朝だわ。たっぷり朝ご飯食べちゃった。あなた料理上手なのね」
倫子の通勤の為、スーツに着替え始めた。
「ええ一応、長期間のお勤めもありますので」
「長期間のお勤めというと、もしや愛人契約みたいな奴?」
「まあ、そんなものですね。一人のお客様に一定期間お使えする訳です」
「ほほー。でも高いんでしょ?」
「そうですねえ。ただ、量産型ですから購入しても二、九八○円」
「ええ!?じゃノーマルなバイブと同じくらいじゃない!?」
「そうですね。まあ、私の祖先はそのバイブですから」
「まあ!?あれがこんな風に」
「そうですね。最初、男性器の形をしただけのものが電動になって女性のお好みの動きが出来るようになり、その後、ぬいぐるみの股間にそれが付いてぬいぐるみを抱きしめながら出来るようになりました。ここまでは現代の話です。そこから今度は男性の腰を模(かたど)ったゴム製の模型の股間に装着されたのです」
「ええ!?腰だけなの?」
「ええ、殿方の腰を抱えながらいきたいという女性の要望が多かったものですから」
「なるほどね!」
「しかしすぐに男性の胴体のゴム製模型も必要になりました」
「ほほう?」
「やっぱり首にもしがみ付きたいと」
「分かる分かる」
「しかし程なく、手足も」
「やっぱり」
「抱きしめて欲しい、と」
「そうだよね。で、結局アンドロイドになっちゃったんだ」
「いえいえ、そんなに簡単にはいきませんよ。だいたいアンドロイドの開発は宇宙探査用に行われたものです。バイブが進化した訳では無いのですよ」
「そりゃそうだ!」
「もっともバイブ業界がアンドロイドを活用するようになってから、人工皮膚や肉の代わりとして使う弾性ゴムは飛躍的な進化を遂げました。また、人口海綿体もバイブ業界が作ったんですよ。それも私の製造元であるTOMOTAが開発したんですよ」
「すごーいい。それで人間の男性みたいに大きくなったり小さくなったりするんだね!」
「そうです」
「道理で感触が生々しかったわー。バイブって気持ち良いんだけど硬くてちょっと痛いのよね」
「TOMOTAの技術がそれを100%解消致しました」
「やったーTOMOTAばんざーい!」
「いえ、TOMOTAの技術はそんなレベルではございません。当社はかつて製造商品の一部としてピストンシリンダーを製造していた経過がございます。当時の技術を応用してアンドロイドの腰使いに、現物の男性では不可能なスピード、角度を実現しております」
「おお!たしかになんか凄く気持ちいかった気がする!フン!」
「ここにですね、お客様用の手動スイッチがございます」
「フン!フン!どれどれ!これかー。こいつがスイッチだったかー」
「はい、まず一番上が【ピストン(浅)】です」
「ピストンあさ?朝用のピストン運動?」
「いいえ、浅です。具体的に申しますと女性気の入り口で出したり入れたり」
「ひひー!!気持ちえさそー!」
「次いで二番目が【ピストン(長)】」
「超?」
「いえ、長。ロングストロークで出し入れ」
「おおお、ロングストローク、なんて魅惑的な響きなののの」
「三番目は【ピストン(深・捏)】」
「あのー、字が読めないんですけど」
「捏ねるはこねる、って読むんですよ」
「捏ね捏ね、なんて高貴な字なの。なんか皇室みたいな字」
「あんまり似てませんけどね。つまり奥で捏ね回すということです」
「ああん。もう駄目~ん」
「最後は」
「お願い、ぱんぱんやって下さい」
「はい四番目は【ピストン(深・突)】です」
「はふー!」
鼻息を荒げ、倫子はバイブえもんの膝の上に載った。パジャマからスーツに着替える途中だったので、パンティとブラジャーを着けただけの格好で、何時でも裸になれるという状況だった。
(つづく)
★「第一話 バイブえもん登場!」その4
「え?まずいですよ。会社に遅刻しますよ倫子さん」
「いや!倫子って呼んで」
「はあ。じゃ、ノーマルモードだと間違いなく遅刻するのでクイックモードでよろしいですか?」
「え?何それ?」
「モード変換できるんですよ」
「ほほう、どういうモードがあるの?」
「ここにあるんです。ほらこの首の後ろ」
「あ!なんか書いてある。あれ、ここ押すと字が変わる。どれどれノーマル、クイック、スポーティ・・・あ、これがいい、このネッチリモードっての」
「駄目ですよ、遅刻しますよ」
「いいの体調悪いって電話しとくから。だって本当だもの。もう一年もセックスしてないんだから体調おかしくなって当然よ。ね、早く、お願いちまちゅー」
「いいや、駄目です」
「なんで?あなたバイブでしょ?ご主人の言うこと聞きなさい」
「残念でした。私を注文したのあなたのご子孫様です。その方からもう一つご注文を受けておりまして、あなたが節度ある生活を送るよう監視しなさいと」
「何ですって!?余計なお世話よ!ぷんぷん!もういいわ、会社へ行きます」
「まあクイックモードならギリギリ遅刻しないかもしれません」
「え!?本当?じゃあお願いちまちゅ」
「はい、それではクイックモードっと」
くちゅっプヌプヌプヌ
あふっあはん、もっちょ
ういんういんういん
あああんんん
しーん
うん?
びびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびび
あばばばばばばばばばばばばばばばばば
だでぃごべええええええ
あびばばばば
ひーひーひー
「ちょっと!なによこれ?」
「クイックモードでございます」
「なんか痺(しび)れちゃったじゃない!道路工事やってんじゃないのよビビビバババって!」
「はあ、でも短時間でいって頂くにはこれが」
「まあ、いっちゃたことはいっちゃったけど何か嫌な感じ!屈辱だわ、こんな馬鹿な生き方させられちゃって。ちょっと帰ってきたらねっちりモードだかんね!分かってるでしょうね。もう好きなように楽しんでやるわ。覚悟しときなさい!プンプン!」
倫子はそそくさとスーツを着込むとアパートを出た。
(つづく)
★「第一話 バイブえもん登場!」その5
「倫子さん、ちょっと」
細野課長の声がした。悪い奴では無いが、オカマ言葉が気になる。多分、自分だけでなくみんなそう思ってるに違いないよ、と倫子は考えていた。しかし、オカマ言葉は当社が女性の多い職場だから仕方なのかもしれない。問題はプラス簾(すだれ)頭ということだ。オカマ言葉+簾頭=どう見ても仕事が出来るように見えない。実際、非常に頼りない。会議では流されるまま自分の意見ゼロ。営業先でもまともな説明は出来ず。
しかしその彼が何故に営業課長か?その理由は、彼がどんなに阿呆でも何故か営業成績だけはいいということだ。倫子はその秘密が彼のオカマ言葉+簾頭にあると見ていた。簾頭という視覚効果とオカマ言葉でグズグズ言われたら営業先の担当者も困る。尚且つ彼は馬鹿!といわれようがクズ!と言われようが帰らない。目に涙を浮かべながら、客の会社に居座るのだ。客が困り果てて
「そろそろお帰り下さい」
と言うと
「じゃあ契約してちょうだい!」
と泣きながら言う。
簾頭×オカマ言葉×泣き脅し=契約成立。
しかし、一番迷惑なのは同行させられた課員。ずーーーーっと、彼の隣で一部始終を見守っていなければならない。相手先の社員達の冷たい視線と嘲笑に耐えながら。私はこの人とは違うんです、関係ないんです、と叫びたくなるのを我慢して、ただ肩を並べて座っているのだ。
その課長が自分に声を掛けてきた、ということは、もしや?一緒に営業に行けという事か?
『いやー!!具合悪くなろ。早退、早退。そう!今日はひどい生理で、生理休暇いただかないと』
倫子はわずかに身体を捩じらせながら課長席に向かった。いつでも「具合悪くって」と言い訳できるように。
「倫子さん、あのですね」
「ひ!あの課長、私朝からちょっと体調の方が」
「は?」
「体調悪くて」
「え?いつもよりツヤツヤしてるから体調いいのかと思いましたよ」
「あ、ツヤツヤはその、朝から一本抜いて」
「朝から一本?」
「あああ、朝からホモビタンCを一本」
「なるほど」
「それなら元気でしょ。実はお願いがあるのですが」
「ははは、はいー?」
「ダイバーリーゼント社に一緒に行って頂きたいんです。401Kを導入されたいそうで、そのご相談に」
「ひ!ダイバーリーゼントってあの六本木ピラーズの、あの変な人たちばっかの会社」
「失礼な!お客様ですよ!口を慎んで」
「は、済みません」
最悪だ。最悪。ダイバーリーゼントとは、ダイビング好きのエリート男が設立したITベンチャー。設立後まだ3年というのに日の出の勢い、と言おうか生き馬の目を抜く快進撃で、天文学的売上を記録している会社だ。しかし、問題はいろいろある。男性社員が全員リーゼント。パソコンおたく集団のくせしてである。社長がダイビングも好きだが髪型はリーゼントが好きだからだ。つまり簡単に言うと変な連中の集まりである。
前に行った時もレースクイーン並にスタイルのいい倫子は、おたくandリーゼント軍団から全身を舐め回すように見られた。「君、どこのエイギョー?」とか声を掛けるでもなく、パソコンの手を止め黙ったまま、ひひひ、という顔つきで。
「ああ勘弁して下さい。気持ち悪い。ぶるぶるぶるぶる」
「駄目です。あちらさんは倫子さんのとこ気に入ってるみたいよ」
「え!?誰が?」
「誰が、っていうか皆さん。倫子さんが来るといい匂いがするんだって」
「に・ほ・ひ・嗅いでたの?気持ち悪ー!!」
「仕事なのよ。観念なさい」
「はひ。ぐっすん」
(つづく)

北極30えもん24

いくら馬鹿とはいえ社長である。携帯に呼び出しが掛かった以上、駆け足で行かねばなるまい。
走るたびにお腹の子が、じゃなくてアソコの中の北極30えもんが中で擦れる。
ああ、うんん、くくくちょっと気を抜くと気持ち良くなってしまいそうだ。
更に困ったのは、いってから時間がたち倫子のあそこが緩んできた。ちょっと力を抜くと北極30えもんが飛び出してしまいそうだ。そのため飛び出さないようにアソコを締めるのだが、締めるほどに強く擦れ、それだけ気持ち良くなってしまう。
つまり今の倫子に必用なのは北極30えもんがアソコから飛び出さないように力を入れながらも気持ち良くならないように精神力で押さえること、その二つを同時に行うことだった。
社長室に向かって異様な内股で歩きながら倫子は気が狂いそうだった。こういう時は精神集中が必用だ。そう思った時、倫子の脳裏に因数分解の文字が浮かんだ。早漏気味の男性が射精を堪(こら)える為にやるあれだ。倫子ば、懸命に腰を打ち付けながら因数分解を解く男を何人か知っている。倫子の中でもう発射寸前でぱんぱんに膨れ上がったまま、額に汗して数学に挑戦する様は好感が持てた。
『えーっと(Xの3乗+Xの2乗+X+1)の10乗をXの5乗-1で割った余りは、ええっと三乗根があれで因数が』
ああ!
因数分解に気を取られ北極30えもんが落っこちそうになった。慌ててアソコを絞めると気持ちいい電流が体中を駆け巡った。
ああっふ!
快楽から逃れようと再び因数分解を再開する。
『淫吸うが平方根で巨根が入ると気持ちいい』
倫子は数学の世界と快楽の世界を何度も彷徨(さまよ)った。
ひいいいい、ううう、あああ、いいいいくくくく
廊下を歩きながら危うくいってしまうところだった。このままではまずい。倫子は歯を食いしばり、社長室に向かった。
あと三メートルで社長室だ。しかし気を抜けない。安堵してしまうと北極30えもんが外へ飛び出してしまう。倫子は再びお股に力を入れ直し、よろめきながら社長室のドアをノックした。
「はーいい。倫子ちや~んん。おまちかねー」
社長の声が聞こえた。
「失礼します」
と言いながらドアを開けるとソファにハードジャンク・インベスターズの西尻社長が社長の対面に座っていた。
「やっときたーあ。美人は人を待たせるねえ」
「いえ、ちょっと色々事情がありまして」
「無粋なこと言わないで、ここに座って。ほら早く」
社長が自分の隣にソファを指差した。そこまで無事に移動できるだろうか?体内に北極30えもんを抱えたままである。せめて北極30えもんの意
識が戻ってくれれば何とかしようもあるが。倫子は慎重に歩き始めた。
「あれ?倫子ちゃん。歩き方変よ。妙に内股で。お腹でも痛いの?」
「ええ社長、済みません。ちょっとお腹が」
「まあ!腹下し?」
「ええ、そうみたいです」
倫子は、下痢なのだと嘘の言い訳しなければならない自分が情けなかった。どうせなら生理痛が酷(ひど)くて、とか言い訳すれば可愛げもあるというものだ。しかし、咄嗟(とっさ)のことでそこまで頭が回らなかった。
「昨日飲み過ぎたんでしょ。でもやあねえ、こんな美人が下痢で腹抱えてるなんて。様にならないぞ」
そう言って社長は倫子の額を人差し指で突っついた。
「まあまあ、私も飲むとお腹が緩くなる方でして。苦しいんですよあれ。内股で歩きたくなる気持ちも分かりますよ」
ハードジャンク・インベスターズの北尻社長が妙な庇(かば)い方をした。
分からんでいい!と倫子は思った。下痢など嘘なのだ。しかし真実は永遠の闇の中に葬り去らねばなるまい。その為には今この屈辱を耐えるしかないのだ。
その時、思いもよらぬ事件が発生した。北極30えもんが痙攣(けいれん)を始めたのだ。
がくがくがくがくがくがくがくがく
や・ば・い
(ああああああああああああああああ)
苦しい。苦しいほど気持ちいい。声が漏れそうだが絶対まずい。
「どうしたの?倫子ちゃん。大丈夫?」
「これは、かなり危険な状態に見えるが」
「ねえ!こんなとこでお漏らししちゃ駄目!」
「おんぶで連れていって上げましょうか?さあ私の背中に乗って!」
「倫子ちゃんお言葉に甘えなさい。さあ背中に乗ってガバッと股を拡げて!」
二人の男たちの言葉は親切なのか羞恥プレイなのか?
「あああ、ありがとうございます」
そう言ってる間に北極30えもんの痙攣(けいれん)が止まった。倫子は一息付く為に大きく深呼吸した。すると社長が
「変な倫子ちゃん。本当に具合悪いんだねえ」
「ええ、でももう大丈夫です」
と言ったところで再び北極30えもんは、今度は米搗(こめつ)きバッタのように、身体をぴっくんぴっくんと反らせたり前屈したりを繰り返した。
(がはっ、おわああああああああ、いぐ、いってしまうぐぐぐぐぐ)
「倫子ちゃん、大丈夫?顔真っ青」
「いいいい、いえ、もう駄目」
倫子はその場で口から泡を噴き、白目を剥いて失神した。
「倫子ちや~~~んんん」
という社長の呼ぶ声が聞こえた。ああ、このまま気絶してしまったら、あそこから北極30えもんが飛び出して、社長とハードジャンク・インベスターズの社長にもろに見られてしまう。いや、いったのだからアソコは締まってる筈だ。北極30えもんはアソコに収まったままに違いない。
そう思い倫子は安心して気を失った。
(つづく)


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「これbikoちゃんにクリソツ!」って言われた写真を載せます。

北極30えもん23

「第ニ話 秘密のプレー」その12
「どうしたですかー?」
個室の外の声がそう叫んだ。
「だ、大丈夫よ何でも無いわ」
「でも、あんなに苦しそうな声を出して」
倫子は危うく「ひっ!」と声を上げそうになった。聞かれていたのだ。なんて言ってたんだろう。いく前後に自分が何と叫んでいるかは今もって謎のままだ。以前、何かの雑誌の悩み相談コーナーで
【前付き合ってたカレに、いく時「ばんざーい」って言えって仕込まれちゃって、違う人としてもついばんざーいって言っちゃうんです】
というのを読んだことがある。よもや自分が万歳三唱してるとは思えないが。
「本当に大丈夫?」
ありがた迷惑な声の主は執拗に聞いてくる。
「本当に大丈夫です」
「でも、あんなに大きな声を」
「(ええ!?)だ、大丈夫ですから、お気を使わずに」
「でも、心配だわ。誰か呼んできます」
「(こらぁ、ふざけんな、このアマ!)ほんと、大丈夫だから!」
「でも」
「でも何か?(まだあるんかい?)」
「だってなかなかお出にならないから、やっぱり具合悪いんじゃ?」
「そんなことありましぇーん!」
「それならいいですけど」
「はい、ありがとう」
どうやら開いては諦(あきら)めたらしい。倫子はふーっと大きく一つ溜息を付き、北極30えもんを抜きに掛かった。普段バイブを使って時は、いったところであそこの閉まる力で自然に押し出される。今回も北極30えもんが押し出されるところだったが、さっきの女がいろいろ言うので慌ててもう一度中へ押し込んでしまったのだ。
北極30えもんの足を掴(つか)み、ひぱっり出す。
にゅるにゅる
っと北極の鼻やらあそこやら色々な突起が倫子の中を刺激した。
うっふふ~んんん
思わず甘い溜息が漏れてしまう。
「ほら!やっぱり具合悪いんじゃない、あなた!」
『まだ居たんかーい!』
と倫子は思った。が、ここは冷静にいかなければ。
「いえ、あの大丈夫です。本当に」
「だってあなたおかしいわよ!」
そういうとその声の主は個室のドアをどんどんと叩き始め
「具合悪いんでしょ!開けなさい!我慢しちゃ駄目よ!女には怖い病気がいっぱいあるの!」
この女、どうかしてる。鍵は掛かっているが倫子は万が一にも開けられた場合のことを考え、再び北極30えもんを中へ入れた。
ぬぷぬぷぬぷ
『ああ!こんな時だというのに気持ちいい』
思わず
あっふ
と声を漏らしてしまった。
「ほおら!そんな声出して!もう承知しないわよ!」
女は更にどんどん叩いた。それはまるで太鼓の乱れ打ち!
どんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんがらやっちゃ!
太鼓の音が止み、女の激しい呼吸音が聞こえる。
はーっゼーッはーっゼーッはーっゼーッはーっゼーッはーっゼーッはーっゼーッ
そしてしばらくの後、呼吸音は消えた。
倫子は耳を澄ました。女の気配もしない。
『あれ?』
どうやら女は諦(あきら)めたらしい。トイレから外へ出たか否かは分からなかった。しかし今時のドアはサイレントタイプ、あまり音がしない。
『ふー。やっと諦(あきら)めたか』
倫子は安堵(あんど)した。さて、それではここから出て社長室に行こう、ということで北極30えもんをあそこから出そうと、再び北極30えもんの足を掴(つか)んでぬぬーっと
あ、うんんん
また声が漏れてしまう。
『気持ちいい』
思わず尻を突き出し、腰を捩(よじ)った。
そこへ天井から
「みーたーぞー!!!!具合悪いかと思えばなんとオゾマシイ、あーなーたぁーまさか、オーーーー」
とおどろおどろしい声で叫びながら眼鏡の女が舞い降りてきた。
ぎゃー!!
倫子は夢中でぼかぼか女を殴り付けた。気付いたときは眼鏡は外れ、女は気絶していた。仰向(あおむ)けにし顔を拝(おが)むと麦倉暑子。隣のセクションの超真面目お局オンナ!御歳38歳にもなろうかというのに、今だに処女で男嫌いとの噂がある。さらに世話好きで素直だが猪突猛進な性格で通っている。倫子はとんでもない奴に見つかったものだ。
麦倉が失神している間に逃げよう、と倫子は思った。慌てて北極30えもんを抜き出す。抜き出してみると当然のことだがぐしょ濡れ。更にアンドロイドとはいえ長時間の潜水活動に耐え切れなかったらしく失神している。
『どうしよう?とりあえず洗面台で洗う?でも、どうやって乾かすの?』
そんなことで迷っていると再び麦倉が
「うう~ん」
と目を覚ましそうになった。
「ええーいい」
仕方なく再び北極30えもんを自分のアソコ深く入れてしまった。
あっふふぉーーん
「ぎもじいいーー」
倫子が虚(うつ)ろな腰を宙に彷徨(さまよ)わせていると、携帯が鳴った。社長だ!
「はい」
「倫子ちゃーん。もう!これ以上待たせないで。我慢も限界よ!今日こそやらせていただく・・・」
ブッツ。ツーツーツー
くだらない話に付き合ってられないが、取り敢えず早急に社長室に向かわねば。それにしても体内に北極30えもんを抱えたまま!?それも彼は気絶している。
「大丈夫かにゃ?」
普段はキリッとしたやり手OLの倫子だが、少し不安だった。
(つづく)

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北極30えもん22

「第ニ話 秘密のプレー」その11
「まったくうちの女子社員って馬鹿ばっかだわ!」
倫子は北極30えもんを従え廊下を歩きながらそう呟(つぶ)いた。
「楽しい方々ばかりじゃないですか」
「とんでもない!」
そう倫子は吐き捨てた。ちょっと目を離したら北極に何をされるか分からない。取り敢えず積極的な山田が要注意だが、鳥岡美穂子も侮(あなど)
れない。いいや案外、鳥岡美穂子の方が癒し系の分、男受けはいいのだ。
『油断できん』
そんなことを考えながら廊下を歩いているうち、黒い影が後ろから迫ってくるのを感じた。
『何?』
と辺りを見回すが、誰も居ない。また歩き出すと、黒い影がちらちら。
「ちょっと何?」
と今度は声に出し、あたりを見回した。なんなのだろう?
「雛子さんですよ。ほら、あの柱の影に」
と北極30えもんが言った。
「えへへー。ばれちゃったー」
超ロングヘアの間から顔を出し、雛子がにっこり笑った。
「ちょっと何よあんた!だいたい髪切りなさい。せっかくの可愛らしい顔が台無しよ!」
「えへへ。叱られちゃったー」
と雛子は笑いながら
「こんにちわー。北極さんっておっしゃるのね」
と北極に話し掛けた。雛子は部屋が違うのに何故知ってるのだろう?取り敢えず危険を察知した倫子は
「急いでるの。失礼!」
と言って雛子を振り切った。
雛子は遠吠えのように
「ほっきょくさ~んこんどのみにいきましょうね~」
と叫んでいた。まさに負け犬の遠吠えだ。
「まったく、油断も隙も無い連中ばっかりだわ」
「楽しい方たちばかりです」
「もう、そんなこと言ってたらあんた誘拐されるわよ」
「え?では、ミニチュアモードで倫子さんのポッケの中へ」
「ええ?何それ」
「ご覧下さい」
そう言うと北極30えもんはどんどん小さくなり、ついには十八センチくらいになってしまった。
「丁度、本体と同じくらいまで小さくなれます」
「ほほー。まさかこのままあそこへ入っちゃうんじゃ?」
「そういうご趣味のお客様もいらっしゃいます」
「ええ!?まさにミニチュアダックスフンドならぬミニチュアセックスフレンド!!」
「はい、中から直接スポットを両手で擦るんです」
「直接スポットを!」
「はい、窓拭きの要領でございます」
ふーーんんっ!
倫子は北極30えもんを右手のひらに乗せたまま大きく鼻息を吹き出した。そして
「ちょこっとだけやってみて」
と言った。
「倫子さん、社長に呼ばれてるんじゃ?」
「いいのよ、どーせ大した用事じゃないんだから。それにちょこっとよ」
「承りました」
幸いなことにトイレの中は無人。皆、仕事が始まったばかりの時間だから、今ごろトイレに入っている奴は昨晩、酒でも呑み過ぎて下痢した女くらいだろう。
「じゃ早速お願い」
と言って倫子が下着を降ろそうとすると
「ストッキングだけ降ろして頂ければ、横っちょから入らせて頂きます」だそうだ。倫子はそれに従ってストッキングだけ降ろした。すると北極30えもんは
よいしょっよいしょっ
と言いながら倫子の内腿を登り、パンティの中へ進入、更にあそこの中へ入り込んできた。
朝出掛けに一戦交えかなり深くいったせいか倫子のそこは閉まっていた。すると北極30えもんはドリルのように回転し始めた。初めゆっくりとした回転が、序々
に早くなる。倫子はこういう機械的な動きが好きだった。次第に
にゅるんにゅるんにゅるんにゅるん
と粘り気を帯びた音に変化し、それとともに北極30えもんが中へ中へと埋没していくのが分かった。すっかり中へ収まったところで北極30えもんが訊くてきた。
どどどんんんなななうううごごごきききがががいいいででですすすかかか?
倫子の液の中で喋ってるせいか声がくぐもってよく聞き取れないが取り敢えず
「窓拭きお願いします」
うううけけけたたたまままわわわりりりままましししたたた
北極30えもんはそう答えると、一番奥から少し下へ降りた。上半身だけ中へ入ったくらいで丁度スポットのところに手が当たる。
こしこしこしこしこしこしこしこしこし
「ああ!スポットを直撃してる!」
こしこしこしこしこしこしこしこしこし
「奥!奥を突いて!」
すると北極はパンティを足場に
とーん!
とひとっ飛び。倫子の一番奥に頭からぶつかった。
「あーいい!」
そこから倫子は
「連続で」
とか
「リズミカルに」
とか要望を出しその都度北極はジャンプしてそれに答えた。
とーんっとーんっとーんっとーんっとーんっとーんっとーんっとーんっ
「ああ!いくいくいぐいぐいぐぐーーーー」
倫子はしっかりいってしまった。
すると突然、
「大丈夫ですか!?」
と個室の外から誰かに声を掛けられた。
「お腹、痛いんですか!?大丈夫!?」
外の声は本気で心配しているようだ。
「やっべー!!」
(つづく)

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北極30えもん21

「第ニ話 秘密のプレー」その10
倫子と北極30えもんが六本木ピラーズのオフィスに着くと、オフィス全体が桃の花か満開に咲き誇ったように色めきたった。
『ちょっと何!?この異様な雰囲気は何なの?』
そもそも女性社員ばかりのオフィスである。
「倫子さんが超いい男を連れてくるって言うんでみんな楽しみにしてたんですー」
と山田憂子が言った。大学時代、雑誌の素人モデルをしただけあってスタイルがいい。しかしそれだけじゃなく全身から奔放さが溢れ出ていた。
「いやーんん。いいおとこー!福山雅治にそっくりー。ねえ、今夜お食事に行きませんー?」
食事になど行かせたらやられてしまうのは明白。うちの取引先には彼女が喰い散らかしたオトコどもで「山田会」という後援会組織があるらしい。三度の飯と気持ちいいことが大好きという食欲、性欲旺盛な健康美女だ。
はいはいはいはいはいはいはいはい
倫子は勢いで山田を押しのけ、その後ろで順番待ちのようにしていた女どもを蹴散らすように自分の席に着いた。
「あら、もう来てたの」
北極30えもん用のデスクが倫子のデスクの横に置かれていた。通勤途中にあらかじめ社長に携帯で連絡を取っておいたのだが、社長は相変わらず手が早い、いや手際がいい。倫子は携帯での会話を思い出していた。
「もしもし社長、臨時社員を雇いたいんですが」
「どんな奴ー?オトコは駄目だよー。だって倫子ちゃん寝取られちゃうもん」
「男ですけど、そんなんじゃありません」
「エー!?オトコー!分かった。もうやったんでしょ。やったらオトコからシゴト紹介してよ、とか頼まれたんでしょ」
「彼は有能です」
「気持ち良くされちゃうとオンナってオトコを過大評価するからなー。本当はただアレが大きかったり、ちょうどいいところへ当たる角度だったりするだけなのになー」
「この会話ってセクハラじゃありません?」
「何言ってるの!?勘違いしないで。僕は倫子ちゃんとセックスはしたいけどセクハラは御免です」
「まあ、取り敢えず彼を雇います」
「了解しました」
だったら初めから色々言うな!!と思ったが、まあ了解して貰ったのだからどうでもいい。
「じゃ、北極30えもん。そこに座って」
そう倫子が言うと目聡(めざと)い女子社員達が
「え?なになにー?」
と騒ぎ出した。
突然、鳥岡美穂子春子が手を上げた。
「マネージャー、いいですかー質問がありまーす」
「なあに?鳥岡美穂子さん」
そう言うと美穂子は立ち上がった。女から見ても
ほほーっ
と感心してしまうほどの豊満なボディ。その上、極端に括(くび)れてて全体にくねくね。ところがお口すっきり目はにっこり。つまり可愛い顔してボディは凄い!って奴だ。自分がオトコだったらレイプしているに違いない。向こうから迫ってきたとしても絶対レイプしている、と倫子は思った。
「新しいスタッフの男性の方、お名前何ですかー?」
それが美穂子の質問だった。まったくこの会社の女どもといったら、どうしてこうもセクシーで且つ積極的なのか?すべてあのエロ社長の趣味に違いないが。そして美穂子が質問すると、まわりの女どもからも
「そうよそうよ名前くらい紹介しても摩(す)り減るもんでも無し」
などというひそひそ声が聞こえてきた。仕方ないので倫子は
「そうね。北極30」
まで言ったところで、
『北極30えもんはまずいだろう』
と思った。考えてみれば南極1号に対し北極30えもんとは未来人も随分と安易な名前を付けたものだ。まあ号とえもんが違うだけましというものか。いずれにせよ、なんかエロい名前、と思われてしまう。すると美穂子が
「ほっきょくさんじゅう~?」
と小首を傾げた。倫子は慌てて
「あ、あの、北極さんです」
と大声で言った。
「北極~う?」
と何人かが顔を見合わせ小首を傾げた。美穂子も眉を顰(ひそ)めながら
「そのホッキョクって名前ですか?苗字ですか?」
と訊ねてきた。ここでうろたえてはいけない。
「名前よ。御祖父さんが北極探検隊の隊員だったの。それで御祖父さんの命日に生まれたから北極ってついたのよ」
「へえ~~???なんで倫子さん、そんな家庭のことまでご存知なんですか?」
「え!?あ、あの、実は北極とは従兄弟なのよ従兄弟」
「え?イトコ?本当ですか」
「本当よ。ほんとにほんと」
そう言うと美穂子は可愛らしい口元をキュッと上げて
「良かった。じゃ、私にも北極さんと恋愛する権利あるんですね」
と宣言した。後ろから山田が飛び出して来て
「ちょっと美穂子、抜け駆けしないで!倫子さーん。私も参戦させて下さーい」
すると次々女たちが倫子にペコペコ頭を下げ、全員が北極30えもん争奪戦へ参戦の誓いを立てた。
「やるぞー!」
「おーー!!」
「ところで倫子さん。北極さんって苗字は?」
「え?えーっと小林」
「小林北極?へんな名前」
(つづく)

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北極30えもん20

「第ニ話 秘密のプレー」その9
「取り敢えずパスワードもセットしたし、これで大丈夫ね」
そう言って倫子は両手で北極30えもんの両肩をポンポンっと叩いた。出社前、倫子は北極30えもんの身体をチェックしていた。
「でも面白いわよねー。パスワードの入力まで本体でやるなんて」
「本体が全ての情報を保有しておりますので」
「へえ、じゃ携帯のメモリーみたいな機能なのね」
「そうです。固体の識別番号もここで保有しております」
「識別番号?」
「そうです。例えば私であれば[北極]工場製の[30]番、[えもん]モデルという情報です」
「ほほー、そういう意味なのね。でも、そういう情報が本体にあるってことは、身体はどうなのよ?だって取り外せるんでしょ?」
「ええ。お客様によっては身体の方をスリム、ノーマル、マッチョと3種類ほどお持ちになっていて日替わりで嵌(は)め替えてご使用されている方もいらっしゃいます」
「ええ!?なんか複雑ねー。だって顔も変わる訳でしょ。違う男とやってるみたいじゃん」
「しかし本体は一緒ですから」
「そうねえ。どんなものかしら?あれが一緒なら一緒かしら」
「お試しになられますか?」
「ええ!?えー?えー。そうねえー。うーん。えーっと。どうしよう?」
「そんなに面倒ではございません。五分ほどでこちらに届く筈です」
「でも私、北極30えもんのとこ気に入ってるから、なんか浮気しちゃうみたいで気が引けちゃうわ」
「ああ、でも私は私ですよ。人工頭脳のハードは替わりますがデータは全て本体のメモリーが保存しておりますから」
「なるほどー!じゃ、北極30えもんの記憶は全部ある訳ね」
「そうでございます」
「ならいいか。単に身体が違うだけで同じ北極30えもんだもんね」
「ちなみにこんなタイプがあります」
「どれどれ。う~ん。面白いけどこういう男性に抱かれると思うとなんか抵抗があるなあ。やめた!今のままがいいよ」
「そうでございますか。ちなみに顔はそのままで身体だけ変える、というパターンもあります」
「ええ!?う~ん、それっていいかも。それも五分くらい届くの?」
「いえ、それは標準機能に付いておりますので、今すぐ」
「ええ!?」
「このボタンを」
「このボタンってあんた乳首じゃない」
「右の乳首を押すとマッチョへ、左を押すと痩せ型へ変化します」
「どれどれ、あれ?あんまり変わらないよ?」
「押す回数で度合いが変わります」
「なるほど!じゃあ」
ぴっぴっぴっぴっぴっぴっぴっぴっ
もこもこもこもこもこもこもこもこもこもこ
「ああ!!なんか凄ーい!筋肉でごつごつして血管まで浮いてるー。なんか身体がちんちんみたいー」
「この血管がリアルでございます」
「いや!なんかいやらしい!その身体」
「お気に召しませんでしょうか?」
「ええ!?う~ん。まあああ、ちょこっとやってみたく」
「お時間がございません」
「ちょこっとなら遅れても大丈夫。社長9時過ぎなきゃ来ないもん」
「承りました」
「それじゃ忙しいから立ったまま」
倫子は立ったままタイトスカートをたくし上げた。
「バックからでごさいますか?」
「ううん。前からちて。ぎゅうううって抱きちめながら」
ぬりゅんっっっ、
ぬりぬりぬりぬりぬり
ぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう
ううううううううん
ぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう
ぬっちゃぬっちゃぬっちゃ
ぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう
あ、あ、あ、あ、あ、
ぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう
ぴんぴんぴんぴんぴん
「中でお願い!」
どっぴゅん!
はふーっ
「ああ、ぎゅうぎゅうっていいわね身体の中身が出ちゃいそうなほど感じちゃった」
(つづく)

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