北極30えもん30 | biko先生のマネー奮闘記

北極30えもん30

「第三話 激烈!M&A合戦」その5
「ねえ、どう思う?」
「どうとおっしゃいますと?」
倫子と北極は社長室から自分達のオフィスに戻るところだった。廊下には目をハートマークにした女子社員どもが携帯電話片手に待ち構えていた。
「北極さんアドレスを・・・」
ばーーん!
北極に話し掛けようとした女子社員の一人を倫子がぶっとばした。北極の電話番号かメルアドを聞き出そうという不逞の輩だ。
「あーれー」
という声がした。一人吹き飛ばし二人投げ飛ばし三人どつきながら倫子はオフィスに突き進んだ。
「社長の話よ」
「ああ、さっきの話ですか。あれはですね。結局、外資リャーメンシスターズ投資顧問の一人勝ちに終わります」
「ええ!?何で分かるの?もしかして頭脳はスーパーコンピューター?」
「いえ、一応この時代のスパコンよりは性能いいです。それと、未来から来たもので、その程度の歴史はインプットされております」
「ああ、そうか!北極は未来から来たんだもんね。それにしても何でリャーメンシスターズの一人勝ちなの?」
「実は、水上社長と栗えもんさんが仲良しの頃、リャーメンシスターズからお金借りて立会外取引やってるんですよ。CB発行&貸株って形でね」
「ははあ、最近流行りの小さい会社が大金借りる手口だわ」
「そうです。で、まあ結局、プティテレビ側で防衛策としてヌッポン放送の新株引受権を大量発行」
「ポイズンピルね」
「栗えもんさん新株引受権を発行差止め訴訟に勝訴」
「株主の権利を保全した訳ね」
「プティテレビ、ハードジャンク・インベスターズに貸し株」
「西尻がホワイトナイト!」
「しかし、西尻不穏な動き」
「トロイの木馬!」
「その後、水上、栗えもん決裂。今に至るです」
「ほほう。それでさっきの社長の話しにつながる訳ね。テレビではそこまでやってなかったわ」
「ええ、ニュースではホワイトナイトまでで終わりでした」
「それで、リャーメンシスターズは?」
「栗えもんさんに貸した金利が高いんです」
「なんと!単純明快」
「世の中そんなもんです」
なんだか先が分かってしまうとつまらない。しかし、倫子は思い直した。良く考えてみれば、北極は未来を知っているのだ。