北極30えもん15 | biko先生のマネー奮闘記

北極30えもん15

「第ニ話 秘密のプレー」その4
雛子は何時からトイレにいたのだろう?だいたい、何をしにトイレに来たのだ?重要なセミナー中にトイレでオナニー、それもバイブを使ってしまった後ろめたさも手伝って、倫子の頭の中はぐるぐるとフル回転した。
もしや会場の後ろの席から、北極30えもんがズボンの中へ手を入れ
本体を外す
 ↓
倫子に渡す
 ↓
倫子がハンドバックにしまう
 ↓
倫子はそ知らぬ顔でトイレへ、
という一連の流れを覗いていたのだろうか?そうして最後の
 ↓
トイレでオナニー
、という決定的場面を覗き見していたのだろうか?いいや個室の形状からして上にでも登らない限り見えない。では?
聞き耳を立てていた!
バイブの齎(もたら)す快楽に陶酔し、思わず口唇から漏れ出た喘ぎ声に聞き耳を立てていたんじゃ!?
最悪。なんていやらしいの!
と倫子は思ったが、いやらしいのは倫子の喘ぎ声の方であり、想像しただけで恥ずかしくなった。
廊下を歩きながら気が重くなった。声を上げていたかどうかと言われれば、たかがオナニーであるし、誰もいないとはいえ公衆のトイレである。そんな大声を上げた訳は無いだろう。しかしいった瞬間は、いつものことだがそこだけ記憶が飛んでいる。以前、お付き合いしたA君から
「倫子さんって激しくって素敵」
と言われたので
「え?そんなに激しく動いてないと思うけど」
と返したら
「いく時凄いじゃないですか『あーああーーーーー!』って大声あげてターザンみたいでしたよ」
「ターザン!」
「ええ、野性的で素敵でした。僕も燃えちゃいましたよ」
「うう、」
ターザンのような声とはどんな声だったのだろう。以来いく時、自分がどのような声を上げるのだろう?と気にはしていたものの、いざその時になるとあまりの気持ち良さに我を忘れてしまう。
「う~ん。ま・さ・か」
倫子は頭を抱え廊下の窓から覗く都会の風景に見入った。夥しい数のビル群、まるで海だ。ビルの海、海の中にビルが林立していると言おうか、ビルの波に都市が覆われていると言おうか、いずれにせよこの中には途方も無い数の人間が棲息しているのだ。
「中にはオナニーの声を同僚に聞かれちゃった人だっている筈だわ」
と思うと気が楽になった。すると突然、
あああーーああああああーーーー
ターザンの声!振り向くと雛子!やはり雛子は自分のターザンのような声を聞いていたのか!?
「何!?何なの!?人を馬鹿にしてるの!?」
倫子が睨(にら)むと雛子は
「え?何怖い顔してるんですか?倫子さん」
「だってあなた今、私のターザンの声を」
「え?ターザン?」
「『あーああーー』って」
「ああ、あんまりお天気がいいから、つい大声出したくなっちゃって。セミナー退屈でしょ、だから。ごめんなさーい」
悪霊のように長い髪を腰まで垂らしてるくせして、話すとお軽い調子というのがなんともアンバランスな女だ。窓から差し込む陽光を眩(まぶ)しそうに見上げながら雛子は手で髪を梳(す)くった。ワカメのような髪の中から彼女の顔が現れる。それまでの暗い印象からは想像できないほど華やかで可愛らしい顔をしている。彼女に篭絡(ろうらく)されたと噂される男達が決まって
「雛子ちゃんって井川遥に似てるよね」
というのも納得できる。ボディも、腰まで掛かった髪に邪魔されてよく分からなかったが、なかなかのナイスバディ。
「倫子さんこそ何やってるんですか?早く戻らないと叱られますよ」
「え!ええ?そうね」
倫子はうろたえた。雛子は事実を知っててとぼけてるのだろうか?続け様に雛子は言った。
「ねえ、倫子さんの連れてきた男の人、バイトなんかじゃ無いでしょ」
そうして雛子はそのナイスボディで倫子を壁に押し付けた。倫子は雛子のボディと壁の間で身動き出来なくなってしまった。
「ちょっと!何するの?」
すると雛子は倫子の耳にべったりと唇を付け
「あの人は何か特別な人。それと不思議なんだけど倫子さんのそのバックから彼の匂いがするの。何故?」
鋭い!雛子は霊能力者だという噂を聞いたことがある。もしやその能力で北極30えもんの秘密をうすうす感づいているのだろうか?
「ねえ、一度お話させてくださいよー」
と雛子は倫子の顔を舐めるんじゃないかというほど顔を寄せて、そう囁いた。
「ね、倫子さんお願い。誰もいない廊下でこんな風にあんまり長く話してると私たちレズだと思われちゃいますよ」
たしかに、灰皿掃除のお爺さんが不自然なほどこちらを無視して黙々と吸殻をバケツに集めている。
「お願い。倫子さん。雛子、気になって眠れなくなっちゃうかも」
そう言って雛子は斜めに顔を寄せてくる。このままではディープキスまでされてしまいそうだ。
「こ・わ・ひ」
我知らず倫子は小刻みに頷(うなづ)いてしまった。
(つづく)

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